1999年3月 脳腫瘍発見 ’99春 |
診断がついている病気に、患者の方から精査を申し出ることは、できなかった。 病院を替える。 高度な医療技術と心のこもった看護で評判の病院だ。 純音検査、内耳のX線撮影、温度眼振検査、聴性脳幹反応検査を受ける。 温度眼振検査は初めての検査だった。 水中眼鏡をかけ、耳に水を入れる。 まるで潜水訓練である。天井がぐるぐる回って、思わずベットにしがみついた。気持ち悪い。。。 しかし、難聴のある耳では何も起こらなかった。 左耳、絶好調!! 耳鼻科の診察室に戻ると 医師から左耳の神経に何かあるので、更に検査を進めましょう と言われ、MRI検査を受けることになる。 目眩が起こらないのは聴神経に異常があるからだ。 稀に造影剤で呼吸困難になる人もいます 狭くて暗いトンネルのような所に入るので閉所恐怖症の人には辛い検査です 説明を受け、問診表に記入しサインをする。名前の字が踊っている。医師は聴神経鞘腫を疑っていたようだが、何も知らない私は、検査そのものが怖くて震えていた。 彫りの深い整った顔に、締まった手首のスポーツマンといった感じの先生だった。手術が上手くて、ユーモアもあって、看護師さんにファンが多いと入院中に聞いた。 しかし、この時、それどころではなかった。 3月2日MRI検査を受ける。 9日検査結果を聞きに行く。別の先生だった。 左耳は、突発性難聴です。 右目の奥のところに脳腫瘍があります。 後ろで診察を待っている患者が、聞いている。そんなことはお構いなしで淡々と告知した。 聞いている私は「青天の霹靂」に涙も出なかった。 奈落の底に突き落とされて初めて、自分の運命は自分で受け止めるしかないのだと悟った。 院内紹介状を渡され、翌日、脳外科に行く。 脳腫瘍の正体は鞍結節部髄膜腫だった。 脳外科では部長先生に診ていただいた。 威厳があり理知的で朗らか、上品な紳士といった感じの先生だった。 質問には丁寧に答えてくださって、絶望の淵にいる私の気持ちを受け止めてくださった。 先生には、真っ白な障子を通して射し込んでくる冬の陽射しのような暖かさを感じた。 後に、看護師さんや患者さんから、部長先生が慕われているのを知る。 粉雪が舞う日であったが、温かい気持ちで家路についた。 |
☆温度眼振検査 水中眼鏡のようなものを かけベッドに横たわります。 技師の人が患者の耳に冷水 や温水を交互に入れて眼球 の揺れを数えます。 正常の場合は目眩が起こっ て気持ち悪くなります。 ☆MRI検査 |
☆髄膜腫について
福岡徳洲会病院の吉田尊久先生からお借りしました。
(でも血が苦手な人はご遠慮ください)
☆MRIについて
医療法人仁愛会新潟中央病院 脳外科部長の小野晃嗣先生
からお借りしました。