NHKスペシャル
イスラエルとパレスチナ  「遺族たちの対話」
 テロと報復の悪循環が続く、イスラエルとパレスチナ。
2000年秋以降、双方で約3500人の犠牲者が出た、といわれている。そんな中、「相手への憎しみを完全に消すことは出来ないが、しかし同じ悲しみを味わうのは自分たちで終わりにしたい」と願い、相手への報復を求めず、お互い向き合って対話をしようとする動きが、双方のテロ犠牲者の遺族たちの中から起こり始めている。
 この番組は、そんなイスラエルとパレスチナの遺族たちを描いたドキュメンタリーである。 (放送は2004年3月27日)

 彼らの苦しみから遠くにいる僕が、無責任に勝手なことを言うのは失礼とは思うが・・・・・・

 人のこころの風景は、子の世代、孫の世代へと引き継がれ、飛躍的に進歩を遂げる科学技術とは違って、その人一代限りのものであり、いま親の世代が「こうなら」、子や孫の世代も、必ず「こうなる」、とは言い難いところがある。
長男の墓で祈るロニー・ヒルシェンソンさん
自爆テロで死んだ長男アミールさんの墓を訪れた「遺族の会」メンバー、ロニー・ヒルシェンゾンさん
 とはいえ、イスラエル・パレスチナ問題を解決するのに、安易な平和主義や人道主義では歯が立たず、ましてや相手の怒りや怨みが増してしまう軍事攻撃や自爆テロなどは論外である。本当の解決は、こうした遺族たちの深い悲しみの奥底からの叫び、報復を求めず、自分たちの世代で『憎しみの連鎖』を断ち切ろうとする願い、そして行動、これしかないと思う。

 2500年前、お釈迦さんは『怨(うら)みに報いるに怨みをもってしたならばついに怨みの息(や)むことがない。怨みを捨ててこそ息む』と説いた。
いま、また、中東で、双方の遺族たちの間から、こうした和平への芽が出始めていると言うことは、すごいことだと思う。

 NHK殿、どうか続編を制作し、彼らの叫びを、世に問い掛け続けていただけたらと思います。

(平成十六年四月十日)

写真をNHKのホームページから借用しました。もし不都合があれば、削除させていただきます。


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