サクランボをめぐる攻防
 自耕園には、大小取り混ぜて7本のサクランボがある。それがほとんど鳥に食われてしまうのだ。
 高い部分はほとんど鳥に取られるので、思い切って上の枝を切ったら、下まで食べられた。その後はせめて2本だけでも鳥と協定して、人間用にしたいと思うのだが、今年もだめだった。
 何しろ私たちが食べるにはまだ酸っぱくて、ほんのり赤らんだ頃から、入れ替わり立ち代りヒヨドリの群れがやってくる。
 以前はムクドリのほうが多かったのだが、最近はヒヨドリの独占に近い。そんなに採られたら無くなってしまうと気をもんでいるうちに、ポツポツつまんでも甘味が出て熟してくる。
 さすが全部を鳥は食べられないので、この時にはわれわれが食べられる。
 7本の木がほとんど同時に熟すのだから、明るい間は枝が揺れていない時がないほど、鳥が群がっている。
 そばに行ってもあまり怖がらないし、追っ払っても別な木に飛んでいって、ゲーギャーギャーと騒ぐだけだ。
 ホームセンターから鳥を脅すものを買ってきたが、カラスの風船も、けっこう高かった鷲の張り子も、磁石が入っているという鳥の陶器のようなものも、全く効かない。
 ただ自衛あるのみ。相当太い枝を切って軒先に運んでくるのだが、これも油断すると明るくなった頃に熟したのから奪われてしまう。
 この頃は、惜しげなしに貰ってもらうのだが、枝によっては軸と種を上手に残し、柔らかい果肉だけを食べたものが残っている。嘴で手当たりしだい突付くので、傷もつくし落とした実で木の下は赤くなっている。
     2005年のサクランボ
 サクランボの分配に対して、ヒヨドリ達との協定は出来ないことが分った。もはや自衛あるのみである。サクランボの木を思い切って切り詰め、幹を中心にこんもりと小さく剪定をした。
 さらに防鳥網を買ってきて、5m四角につなぎ合わせた。それでも枝ははみ出すが、大部分を押し込むように網で包んだ。
 下から入り込む鳥もいるが、何度か逃げられずに捕まったりすると、慎重になった。捕虜は鳥かごで2―3日過ごしてから、逃がしてやる。
 ホバリングが出来るヒヨドリくらいしか、はみ出た実を採ることが出来ない。ついに2本ほどを包むことによって、いつもの年の何倍も完熟した実を、収穫できた。
 今年は冬を越せなかった鳥も多かったらしく、ムクドリも少なかった。しかし3週間以上に亘って、遠くから出向いてきた人とも、完熟したサクランボを、満喫できた。
 野生動物の被害が問題になるが、囲い込むより仕方が無いようだ。
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