庭の草引きとノビル
 春先になると庭の草も伸びてくる。私の庭は出来るだけ手がかからないよう、宿根草などが主なのだ。そして落ち葉などもそのままにして、地表面を出さないようにしている。
 こうすると神社の境内に似て、マルチをしたように覆われ、比較的雑草が生えてこない。
 庭の旺盛な雑草に困っている人は、地面をきれいにして、まじめに生えてきた草を丁寧に引いている人が多い。芝生にしても、綺麗に維持するのは手間がかかる。
 もちろん「ほとんど病気」と言うほどガーデニングに凝っている人もあるが、それはまたそれでいい。
 私は勤めている時は手が廻らないし、できるだけ畑に手をかけるためには、庭は手抜きが出来るようにしている。草を持って草を制すのである。
 数年前まではチャボを庭に放していたので、ある程度は引っ掻き回し雑草も食べてくれていた。今は鳥インフルエンザの関係で、もう鳥小屋も壊してしまった。
 
 
 そんな庭には、チャボも食べなかったノビルが結構生えてくる。それで春の草引きのついでに、引き抜いたうちの大きなものだけ洗面器に放り込んで、酒のつまみにすることにした。
 山菜崇拝者は、ノビルを採集するときは、周囲の小さなものを傷つけないように取るのが、ルールなのだと言う。そんな方にはぜひ庭のノビルを片っ端から引いていただきたいものだ。根こそぎ引いたようでも翌年はまた生えて来る。
 雑草を引く副産物として、大きなものの根っこだけ取り分けておく。葉っぱも食べたことがあるが、ワケギやニラに比べると、ノビルの場合はうまくない。生のまま味噌を付けて齧るのが好きという人もあるが、私には辛すぎるので、茹でて酢味噌で食べる。
 ただ草を引くよりは、なんとなく得をしているような庭掃除の労働である。
 
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