コガタスズメバチの一年
 今年は台風がたくさん来た。観測史上初めてだとか。はじめは5月だったかと思う。そんな頃グミの木にきれいな徳利形のスズメバチの巣を発見した。コガタスズメバチは、だいたい木の枝に巣をするようだ。もっとしっかりした枝を選べばいいのに、風に揺れる細い枝だった。
 心配したとうり、台風の後見に行くと、真ん中から下が周囲の枝に当たって中が丸見えだ。それでも中の巣房は被害を免れていて、蛹になって蓋をした房もある。ただまだお母さんだけで世話をしているらしい。
 それから10日くらいして気がついたら、応急措置がなされていた。やがて真夏になって時々の見上げてみると、娘たちが増えて少し大きくなっていた。お母さんもここまで来れば、やれやれというところだろう。
 けれども何度目かの台風が来て、10月になってみたら、もう蜂の気配はない。それに大きく巣が傷ついている。たぶん台風でやられたので、もう巣を見捨ててしまったのだろうか。それにしても早すぎるような気がした。
 ぶら下がっている細い枝を折り、巣を採ってみると、相当被害を受けていて中には幼虫もいなかった。秋の霜の降りるころ巣をとっても、中から蜂が元気なく這い出してくることも有るのに、今年は被害が多くて、お母さんは疲れて子育てを早く終えたのだろうか。
 キイロアシナガバチに襲われて、幼虫を奪われてしまったのかもしれない。それにしても一人で子育てを始めたお母さんとしては、多難な一生であっただろう。
 今年はアシナガバチの巣も少なかったように思う。
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