たかがカレー、されどカレー
 カレーは何か行事のときなど、よく提供される食べ物だ。人数が分からない集会など、融通がきくという点でも便利だ。
 私たち以上の世代は、若いころカレーを調理できないという人が多かった。 今のようにルウが普及していなくて、スパイスなどすべて原料から作ると思っているからだ。
 逆にその頃若い人の出来る料理がカレーだった。この頃から何かあるとカレーが作られるようになったのだろう。
 だが家で出てくるカレーは、すごく美味しくてコクがあって、いくらでもお変わりしたいほど食べられる。その秘密は玉ねぎのペーストにあるのだ。
 
 
 大きめの鍋に、玉ねぎ10個くらいを縦に切って、気長にとろ火で炒めてゆく。水は入れなくて、しばらくすると玉ねぎ特有のにおいが周囲に立ち込めている。
 無農薬で有機栽培なのだから、家の玉ねぎのうまさにも自信がある。それにしても根気の要る作業だ。しかしこのオニオンペーストがあれば、シチュウなど煮込みの調理に、特別な照りとコクをもたらしてくれる。
 2時間くらい炒めて、こげる寸前で止める。最初の2割以下に縮んでしまうが、このペーストはけっこう甘い。
 さらにニンジンをすりおろしたのも加える。こうしてできたのものを加え、中辛のルウでほかの素材とともに煮込んでゆく。出来上がりの美味しさは抜群なのだ。
 実は私は刺激物が苦手で、香辛料が入っていると、すごい汗が出る。飲み屋など二回目に行っても、その汗をぬぐう様子で記憶してくれているほどだ。行きつけのホテルでも「調理人が代わったね」というと、よく分かったと見直されるのだが、実は香辛料の使い方で質の落ちたのが分かる。
 ところがこのカレーはその刺激も感じないのである。カレーひとつでもおくが深い。家のカレーを食べたら、よその物は色つきで刺激の強い、カレー味汁になってしまう。
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