五月にキジバトのひとつがいが、家の庭に居着いた。羽音も騒々しく、「デデッポッポー」と鳴くので、なんとなく他の鳥がかすんでしまった。 東側のイチョウの木の又になったところに粗末な巣があって、卵が二つ産んである。 ヒヨドリのように厚かましくも無く、ムクドリほど騒いで集団で畑を荒らすわけでもない。平和の象徴である鳩がいるのもいいのではないかと思って、邪魔をしないようにしていた。 |
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ところがその一日置いた日になんとなく気配が違う。覗いて見ると二つとも卵が無くなっていて、キジバトの姿も見られなくなった。 地元の生物愛好者の皆さんに報告したら、蛇かカラスか猫ではないかというような、推測だ。木の根元は深くリュウノヒゲが茂っていて、かき分けて探しても卵のかけらも無い。 飼い猫のミーちゃんはその木の根元で確かに爪を研ぐが、多分襲ってないだろう。蛇も猫の縄張りで今は庭にはいないように思われた。 |
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それから一月ほど後になって、また同じと思われる鳩が今度は南側のペカンの木に居着いた。居間のすぐ外で新聞を読んでいてもその動静はわかる。 庭に降りるのも最小限にして、邪魔しないように気を配っていた。ところがある朝根元に白いものが落ちているので、よく見るとキジバトの卵なのだ。 鳩たちはその後庭には戻ってこなくなった。巣は粗雑で下が透けて見えるくらいなのだが、まさか卵を落としてしまうようなことは無いだろうから、何者かに襲われたのだろう。 |
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その頃西の寝室の外のヒイラギの木にヒヨドリが巣をして、三羽の雛を返しているのに気がついた。ちょっと離れた電線や畑の柿ノ木の梢で、けたたましく鳴いている。 口には相当大きな毛虫をくわえている。菜っ葉をかじったりさくらんぼを奪ったりするが、巣を作って子育てしていると思うと、可愛いものだ。 しかしその数日後に雛の姿も無くなり、ヒヨドリも寄り付かなくなった。どうも朝早くテラスで時々カラスが来て騒ぐのだが、これが犯人ではないかと思うようになった。 |