アビオス
 今年は新顔の野菜を作った。いろいろなものを作ってみるが、今後も作り続けたいと思うものは案外少ない。たとえば西洋アザミはステーキの付け合せにいいとかで作ったが、とにかく大きくなって扱いにくい。畑から駆追するのに困ったことがある。
 おまけにスペインなどの旅行の時に見たら、道端から空き地にびっしりと埋め尽くしている。こんなもの畑でなんで作らねばならないんだと、腹が立った。一時ブームになったクコも残っているしキクイモもそうだ。タンパラなんて畑に蒔いたら、雑草のヒユだった。
 さてこのアピオスは新顔ながら、食べてみて他のものにない旨味がある。まず初年度の出会いは合格だ。一年しか付き合っていないが、紹介してみよう。

 何しろ宣伝文句がすごい。「ジャガイモの30倍のカルシュウム、鉄分は4倍、エネルギーは2.5倍。サツマイモの3倍の食物繊維、ほかのいもにないビタミンEも含んでいます」
 さらに「糖尿、高血圧、アトピー、便秘、花粉症の予防効果があるといわれます。ダイエット、元気回復にも最適」と書いてある。
 
 こんなすばらしいものなら作らずには居られない。実は苗を注文したのを忘れて、近くの種苗店からも買ったので、二重になった。
 さすがマメ科と言うだけあって、上の花のようにりっばな花がたくさん付いた。私は蒔いた種は下の数珠つながりになっている指の一節くらいな紡錘系の実だった。
 だからこの花のあとに蒔いたもののような、実が付くものと思っていたのだが、あいにくの長雨の中でみな落ちてしまった。

 やっぱり種も取れないほどの、作りにくい作物なのだとあきらめていたのである。ところが畑を片付けて支柱などを引き抜いていると、見慣れないものが根っこについている。
 掘り起こしてみると右のような落花生のからラディッシュくらいな芋が、ジュズつながりになっている。トマトやキュウリなど支柱を必要とする作物の並びに作っていたので、これらが枯れた頃片付けたのだが、地上部の蔓は完全に枯れていた。
 ポコポコと大き目のどんぐりくらいなのが気ままに繋がっていて、根元から離れるほど小さい。これまでの経験ではチョッと思い当たらないような作物である。

 さてその食べ方だが、さしあたって油で揚げたのが左の中の写真、下は塩茹でである。サツマイモやジャガイモより、づっと粉っぽくて噛めばきれいに崩れる。とにかく塩味が良くマッチする。
 ビールのつまみにはもってこいだ。まだいろいろの調理方法があるだろうが、皮がなんとなく薄黒いので、調理する前には気になっていた。
 とても小さいので、ジャガイモなどのように剥くこともできない。しかし見た目ほど舌触りには支障が無い。塩味がなじんでいる感じだし、煮崩れもしない。つぶしたりスープなどにも独特な舌触りが楽しめるだろう。

 栽培方法としては、あまり深くは潜らないので、根元を草などを敷いて、乾かないようにしてやらねばならないだろう。土質は片方は「石灰質を含んだ軽めの用土が適する」とあり、もう一方は「水はけの良い粘質土壌」とあるので、適当でいいのだろう。
 また見事な花も、ハーブティとして利用できるのだそうだ。
マメ科

あめりかほどいも
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