その花が暮らしと深い関わりをもっていたかもしれません・・・。
  花いろいろ <秋の花たち>
身近な植物が、薬草としても利用されていました。

 林から土手をつたって草はらへ

@     コウヤボウキ  (キク科) A    リンドウ  (リンドウ科)
ピンク色の花火のようなかわいらしい花です。
高野山では、女人、酒、けまり、囲碁双六などお金もうけにつながるものなどを人間の争いの元になるものとして一切禁止したのだそうです

ナシ、モモ、カキ、ウルシとともにタケも商品価値のあるものとして栽培が禁止されました。竹ぼうきが作れないので、山にはえているこの植物で箒にしたそうです。

この花をほぐして乾かし、かすかに薫る桜の花の香りを楽しんだことがあります。桜餅の葉の香りと同じ成分のクマリンが含まれているかも知れません。

この花は、1年目の枝と2年目の枝とで葉の形が違うという不思議な特徴があります。1年目の枝は卵形の葉を互生し、2年目の枝は、細長い葉を束生します。花は1年目の枝に咲きます。
青紫色の花が茎頂にかたまってつき、花冠は先が5裂します。花は、天気に敏感で、晴れると開き曇天や雨の日には、閉じます。夜も閉じています。草丈は、50〜60cm以上になるものもありますが花の時期には地を這うように倒れた状態になります。

根は苦味があり、竜胆というの名の健胃剤です。苦いものの代表は熊胆(解毒薬)だったとか。それよりもまだ苦いというので、熊より強い動物・竜の名をつけて「竜胆」から「リンドウ」に訛ったと言われています。
小さい頃植物採集をまとめた時、何故こんな可憐な花に竜という字を充てたのか不思議に思ったことがありました。

健胃・解毒の作用から「ケロリグサ」と呼ぶ地方もあるということです。
B   アキノキリンソウ  (キク科) C    センブリ  (リンドウ科)
茎が硬くて直立し、小ぶりの小さい黄色の花を多数つけます。この花が、総状に盛り上がってつくことから、アワダチソウとも呼ばれます。アワダチソウという別名から、アレルギーの原因になるセイタカアワダチソウのイメージにつながり、必ずしも好ましい感をもたれなかった時期もあたようです。

でもセイタカアワダチソウが虫媒花で、花粉の飛ぶ量が風媒花に比べたらはるかに少ないことが知られてからは、この花のイメージも少しは回復したようです。

硬い茎で直立して咲くこの花を、ヨーロッパではゴールデンロッド(杖・竿の意)と呼ぶようです。日本では、黄色の花がベンケイソウ科のキリンソウの頭頂に固まって咲く黄色の花に似ていることからこの名がついたのだといわれています。
民間薬として頭やのどの痛み止めに使われたことが知られています。
晩秋の少し湿った草原や林の中に見られます。花冠は、5裂していますが、この株の隣の花は、4列でした。白に紫のすじの入った可憐な花です。
   
 
1000回振り出してもまだ苦いからこの名がついたといわれています。生薬名を当薬(とうやく)といいます。食欲不振や消化不良の時に使う薬です。

その苦さは強烈で、ほんのわずかな量で足りるそうです。粉末をそのまま飲むときは、1日、0.1gで足りるとか・・・。そう聞くと確かに「薬」なんだなあという実感がわきます。20cmほどの小さい草ですから量を集めるのが大変で、栽培法が確立するまでは、高い薬だったように聞いています。


 山あいの散歩道,  秋には花野にかわります

@ A B C

@ シロバナヒガンバナ (ヒガンバナ科)

2003年9月30日付けの朝日新聞に、掲載されました。我が家から、すぐ近くの公民館の敷地内ということで、見てきました。

やや黄色味を帯びているように見えるのは、ショウキランとの交雑種だからとか。花は、やや大ぶりです。
此処だけなのかもしれませんが、花の咲く時期が、普通種より少し早いような気がします。
A ヨメナ (キク科)

「野菊」の名で親しまれている青紫色の代表的な秋草の1つです。春の若芽を摘んで、おひたしごま和えなどにするとおいしいそうです。

山あいの細い道を散歩していて、目の前に休耕田が開けたときなど、一面の花野の中に必ずこの「野菊」が群がって咲いています。
  
B イタドリ (タデ科)

近鉄桔梗が丘駅前の駐車場の土手に小さい群落があります。若芽は、スカンポと呼ばれ、子供の時は太い茎を選んで皮を剥いてさくさくとおやつにかじりました。酸っぱさが嬉しかったことを懐かしく思い出します。

食い意地の張っていた私は、この年になるまでイタドリがこんなかわいらしい花を咲かせることを知りませんでした。
生薬名は虎杖根(こじょうこん)、リンドウが竜でしたから虎があってもおかしくないのですがなんとも立派な名前です。緩下・利尿薬として煎じたものを飲むといいますが、余り利用はされていないように聞いています。
C イヌタデ(タデ科)

我が家のすぐ近くの公園に群生しています。イヌは、食べられない=つまらないという意味でつけられたとか。
小さいころままごと遊びをよくしました。赤い果実を赤飯に見立てましたがアカマンマといもいわれる名前はそのことに由来しているのでしょう。

よく似た花の形をしてはいても、比べ物にならないほど大きいオオケタデがあります。1,5mを超えるものもあります。もともとは観賞用として、人家に植えられたものが逃げ出したとか。
  
D E F G H I J K

D ヒガンバナ(ヒガンバナ科)

秋の彼岸の頃にあわせるように咲きます。娘が小さい頃、手折って逆さにして線香花火のようだとはしゃいだことがありました。
燃えるように美しい花でありながらどこか寂しさも感じられる花です。釈迦が教えを説いた後に天上から散らした赤い花の名前を取って曼珠沙華とも呼ばれます。
E ワレモコウ(バラ科)

花茎の上方で枝を分けそれぞれの枝先に極小さい花が指先ほどに固まって咲きます。「源氏物語」や「徒然草」にも登場する代表的な秋の野草です。
かすかな香りがあることから「我も香り有り」から我木香と転化としたなど名前の由来はいろいろの説があるということです。
F アキノタムラソウ(シソ科)

茎は硬くすっと伸び、細い四角柱で角張っています。林に続く道端で薄紫色の唇形花をつけます。

タムラソウがアザミに似た花を付けることからこの花もアザミに似ているのだろうと長い間思っていました。まったく形の違う花でした。古い呼び名に「チチハグサ」「コマドメ」があります。
G ミズヒキ(タデ科)

名前のとおり細長い花軸に2・3mmの紅い小花をぽつぽつとつけます。この花は、下から見ると白色なので、紅白のミズヒキに見立ててこの名がついたといわれています。やや日陰に生えます。古くから親しまれ、きんしそうの別名があります。

 ミズヒキの紅は暮色に紛れけり  
H アキノウナギツカミ(タデ科)

花全体がほっそりとして華奢な感じがあります。どうやってこれでうなぎつかむのだろうと思っていたら、下向きに生えた鋭い刺がうなぎでもつかめるという意味合いでした。

同じような花の咲く、タデ科の仲間に「ママコノシリヌグイ」という花があります。刺のある茎で、継子のお尻をこすっていじめるという意味でしょうがこちらも思い切った名前です。
I サワギキョウ(キキョウ科

日当たりのよい湿地に生える背の高い花で、濃い紫色で、唇形をしています。「はるなつ」のところで取り上げたアゼムシロと似た構造の花を咲かせます。

群生するため見ごたえがありこの花の近くにも何本か咲きそろっていました。
近年観賞用に出回っているロベリアは同じ仲間の呼び名だということです。
J アカバナ(アカバナ科)

同じ仲間に、待つ宵草があります。花びらの感じが似ています。
アカバナは、花がうんと小さく湿地に多く見られます。湿っているというような土地よりびちゃびちゃの水浸しのようなところにもよく咲いています。赤花と書くのは、秋に全体が紅色を帯びることによるとか。
K ツリガネニンジン(キキョウ科)

根を朝鮮人参の代用として使い、形が釣鐘に似ていることからこの名がついたそうです。トトキとも呼ばれ若芽を食用にします。青紫色の釣鐘の形のかわいらしい花をつけます。

めしべが花弁よりも長くなり風鈴を思わせます。漢字で紗参(しゃじん)と書きます。
サポニンを含み去痰剤などに使われる事もあるそうです。

L M N O
L チャ(ツバキ科)

小葉の中国系、広葉のアッサム系の2群に大別され、製茶法により不発酵茶(緑茶)、半発酵茶(ウーロン茶)、発酵茶(紅茶)の3種が利用されています。
下向きに咲くぽっこりとした小ぶりの花は、黄色い蕊(しべ)の部分が良く目立ち、初々しくて懐かしい感じがします。

 茶の花のわづかに黄なる夕かな 蕪村

M ミゾゾバ(タデ科)
国道368号線沿いの用水池に続く湿地に群生しています。花は茎の上部に固まってつきます。拡大すると茎に生えている下向きの鋭い刺がはっきり分かります。

花だけを見ていると、こんぺいとうの様でかわいらしく、1つ1つの細かい花(蕚)が開くととても美しい花です。
葉を牛の顔に見立ててウシノヒタイの別名があります。

N ヨウシュヤマゴボウ(ヤマゴボウ科)

明治時代に渡来した北米原産の1mを越す大型の渡来植物です。

秋に熟す紫黒色の実をつぶした紅い果汁で染物遊びをしたことがありました。インクベリーという名があるそうです。

細かい花は、花弁が無く蕚が花びらのように見え蝋細工のような美しさがあります。実は垂れていますが、花は、直立して咲きます。
O きのこ 花ではないですが・・・

傘は1cm弱。丈は1、5cm。てっぺんがとがっているのでアカヤマタケの仲間かしらとも思って眺めていましたが不明です。

山を切り開いて作った道の砂地の所に生えていました。童話の絵に描かれていたようなきのこです。

秋の散歩は、花だけでなくこんなかわいらしいものとも出会えます。



             

  

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