思いがけないアサギマダラ群遊との出会い、わが家への飛来があって、チョウに関する基礎知識をまとめておこうと思い立った。 | |
第六十八話の冒頭に個体名やら種別名やらよく理解せぬまま羅列したが、調べてみるとアゲハチョウ科、シロチョウ科、シジミチョウ科、テングチョウ科、タテハチョウ科、マダラチョウ科、ジャノメチョウ科、セセリチョウ科、と日本産のチョウ(8科約290種)は一般的に種類分けされている。 |
アゲハチョウの脱皮;尻尾の方に黒っぽい抜け殻が見える。四齢幼虫が脱皮して後ろ向きに回転しようとしている。即ち抜け殻を食べるためです。 |
まことに自然の冥利である。 | |
アゲハチョウの脱皮;同じく五齢幼虫が脱皮したところです。終齢幼虫は色柄がこのように違っている。 |
因みにこれまでの実体験の範囲を振り返ってみると、モンシロチョウの幼虫の場合、食草はアブラナ科植物であるが、アゲハチョウはミカン科植物を、キアゲハはセリ科植物を、アサギマダラはガガイモ科植物を、それぞれ食草としている。この様な喰い分けは一体どのようにして取り決められたと言うのであろうか、不思議で仕方がない。 |
一方やがて風化していく、残された蛹の抜け殻が、風に吹かれてたなびいているのも、なかなかさびた風情である。 |
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齢数(脱皮回数)はシジミチョウ科は四齢、アゲハチョウ科、シロチョウ科は五齢が原則とか。タテハチョウ科は五〜六齢で、種によって絶対的に決まっているものでもないらしい。栄養条件等環境に左右されている、と思われる。卵、幼虫、蛹の期間の長さも気温の高低に左右されていることは、キアゲハの観察で教えられた。つまる所、太陽あるが故である。動物のみならず植物も太陽の支配下にある。この地球は全てが偉大なる太陽の手のひらの中でしか存在し得ない。遠い人類の祖先がはやばやと直感的に、太陽を“神”と崇めていたのも充分理解できる。 | 左側はアゲハチョウの蛹;頭を上にして、腰を糸で支えている(帯蛹)。右側はアカタテハの蛹です。頭を下にして、垂直にぶら下がっている(垂蛹)。 |
セセリチョウ;一見蛾のように見えるが・・・イチモンジセセリです。白い点、四つが一列に並んでいる。幼虫はイネツトムシ又はハマクリムシと呼ばれ、稲の害虫として著名。(従って食草はイネ科の雑草)幼虫の状態で冬を越す。 |
チョウ類の蛹は本質的には帯蛹(尾端と吐糸によりオブイ紐で固定)と垂蛹(尾端を固定し頭を下に垂下)の二形式である。前者にはアゲハチョウ科シロチョウ科シジミチョウ科セセリチョウ科、後者にテングチョウ科タテハチョウ科マダラチョウ科ジャノメチョウ科など。例外的にウスバシロチョウ(地表で繭)、タカネヒカゲ、ベニヒカゲ(窪みや石の下)などがある。 チョウ類の内、セセリチョウには違和感がある。見るからに胴太・「ガ」スタイルで、直感的に「ガ」の類と思い込んでいた。「チョウ」より「ガ」と言った方が的確では・・・と。「チョウ」と「ガ」、両者の違いについて、万有百科大事典によれば |
(1)チョウでは触角の形は先端に向かって徐々にあるいは急激にふくらんだ棍棒状かバチ形、または先端部近くにふくらんだ部分があり、それより徐々に細まる。ガでは糸状または種々の程度の櫛歯状。 | |
(2)とまるときにチョウははねを立てるが、ガは水平に開く。 (3)チョウは昼間に、ガは夜間に活動する。 とあるが、(2)(3)には例外が多いようで、(1)ではっきり区別可能とある。しかし海外では例外があるようで特に区別しない場合が多い、とも記してある。 英語ではセセリチョウをSKIPPERと言い、他の科をBUTTERFLYと呼び分けしている。この分け方の方が落ち着く感じだ。(尚「チョウ・ガ」山と渓谷社版を見れば、BUTTERFLYはイギリスの博物学者が、ヤマキチョウをBUTTER-COLOURED FLY<バター色の昆虫>と呼んだことに由来する、と記載されている) |
シロチョウです。触角の形が混棒状になっている。 |
日本では慣例的に大別されているようであるが、さしずめ両者には厳密な区別がつけ難いらしい。 | |
ヤママユガ科のオオミズアオ。触角の形は見事な両面櫛歯状である。 |
一部のガは毒毛や刺毛を持っていて、人体に有害なのもいる。またガの後ろ翅には、前後翅を連結する「抱きとげ」があったり、蛹になる時は大部分の種類は繭を作るとあるが、いずれも例外があって絶対的とは言いがたいようだ。 |
花に舞うチョウを観ながら鳥の鳴き声を聴き、健やかな毎日を送れれば「日々是好日」である。 |
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