5月(2001年)御坊(和歌山県)の、かつての原発反対組織の集会で行った講演の趣旨を発展させて、この8月19日、近江舞子(滋賀県)で行われた「大阪から公害をなくす会」の夏の環境学校で講演しました。結果は一言で言えば大好評だったのですが、あとの懇親会の席上で、一つだけ気にかかる感想を聞きました。「長年高速道路反対の運動に携わってきたが、きょうの話を聞いて、いったいわれわれの運動は何だったのかという気になった。運動なんかしなくても、技術が進歩して、すべてうまく問題は解決するのではないか」というのです。
この受け止められ方は私の本意ではありません。私はとかく成果の見えにくい公害反対運動や、環境保護の運動に、「いや成果は上がっているのですよ。それが証拠に、ここまで世の中は変わりはじめています」と、むしろ運動への激励の言葉を述べたかったのです。明らかに技術の進歩も、企業が変化する兆しも、自治体や政府を巻き込んだ市民の運動の成果以外のなにものでもありません。しかも大企業支配の20世紀型文明から、小規模分散型へと、「生産の民主化」が進行する21世紀、22世紀型文明をになう主役は、明らかに市民であり、自治体をも含めたその組織であり、それらの運動です。
以下のその講演の記録を注意して読んでいただければ、そのことは容易に分かっていただけると思っています。誤解のないよう、よろしくお願いします。(林)
なおこの講演に出てくる数字は、主としてワールド・ウォッチ「地球白書」「地球環境データブック」(年刊)、「日経エコロジー」(月刊)の記事からとっています。
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