【月見れば】よべのつき
二〇〇六年 喫茶『つぶやく堂』にて
おはよ、こんにちは、と一日一度、二度・・・
今日のおすすめはなにですか?
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34906 New よべの。。。。 22 Sep (Fri) 11:10
あそぶにはじゅんびがかんじん。
きのふ、閏七月晦日。

月へ行く道具七月晦日かな 佳音
一ヶ月、お騒がせします。
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34930 New 【月見れば】 よべのつき 23 Sep (Sat) 09:34
八月朔日(9/22)
葉月朔日不器用な調律師 佳音
メロンパンの内側から見上げたような空でした。夜も秋の空、秋の雲。
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34961 New 【月見れば】 よべのつき 24 Sep (Sun) 17:46
八月二日(9/23)
二日月正座の母の糸切歯 佳音
夕刻、六時過ぎには地平に沈む、見えないけれども探してしまう月です。
見れば全身が眼。聴けば全身が耳。
どこかで松虫が鳴いている。もう、すぐそこに夜。
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【月見れば】 よべのつき 25 Sep (Mon) 12:07
八月三日(9/24)
三日月に結び文する薄暮かな 佳音
雲がわらわらとある。
西の際に夕焼けがあるので、沈む寸前に見えるかもしれないと靴を履く。
あそこにあるね、あるのにね、と見えない月を思う、大小二人。
明日こそ、と月に結びぶみ。 手をつないで帰ろう。
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35011 New 【月見れば】 よべのつき 26 Sep (Tue) 16:35
八月四日(9/25)
四日月しなやかに脱ぐけふの澱 佳音
お月さまの中で一番好きなのは四日の月。
針のような三日月よりも「みかづき」らしい姿。
一日を無事終え、ほっと見上げた西の空に「おつかれさま」とゐるやさしい月。
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【月見れば】 よべのつき 27 Sep (Wed) 10:56
八月五日(9/26)
弦月や母思ふ子の弾くピアノ 佳音
はす向かいの13歳。小さなピアニスト。
中学校にあがって部活はあるし、テストも。ゲームもしたいしいろいろいろと。
でもピアノは続いている。
「毎日弾くのはあたりまえ」と母。でも、それを彼がこなしているのは
やはり、きっと、好きだから。
ピアノが。
そして、お母さんが。
兄弟二人で留守番の日に、弟と大喧嘩。
家を飛び出した彼を車で拾って、
「兄貴は、つらいなぁ」
と声をかけたら、うつむいていた顔をあげて、
「帰るわ」
と笑いました。
雨が降っています。
はす向かいの13歳、ピアノに愛されて、彼の音は素敵です。
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【月見れば】 よべのつき 28 Sep (Thu) 08:21
八月六日(9/27)
月の舟おとぎばなしのすぐ終はり 佳音
めでたし、めでたし、のあとは何があるのだろう。
しあわせな姫の腰掛けた六日の月が退場し、東からやってきた夜が
ふふふと笑いましたとさ。
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35070 New 【月見れば】 よべのつき 29 Sep (Fri) 12:14
八月七日(9/28)
上弦やゆつくり帰る救急車 佳音
七日の月が沈むころ、夕餉を終えた家、今「いただきます」の響いている家、
小さな人達はそろそろお風呂に入って寝ようね。
幾たびかお世話になった救急車。 度々道路で出会う救急車。
その中に、働く人がいる。
昼を、夜を守って。
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35072 New 【月見れば】 よべのつき おまけ壱 29 Sep (Fri) 12:23
<< おまけ壱 『きのこ』 >>
31 こんにちは 2006/09/30 12:46
藍天狗さんへ
イタタタタは治りましたか?
あれはね、羽が開いたときも痛かったでしょ。
それと同じで「通過儀礼」といって、そう誰でも経験できるもんではないんですから、
自慢していいんです。
でもユメノタマゴダケはまだ早かったかな (^o^)
糸天狗さんが極太の白い毛糸で網を編んでいたでしょ。
糸天狗2号さんもお手伝いしてたでしょ。
あれはね、
帰りがけにユメノタマゴダケにふわりとかけてあげるのね。
これから寒くなるから♪
海天狗
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27 New 【月見れば】 よべのつき 2006/09/30 12:00
八月八日(9/29)
半月やシュークリームに蓋と底 佳音
甘いものはお好きですか?シュークリームは?
一口でいただくプチシュークリームや焼き立てにかぶりつくもスタイルも嬉しいですが、
銀の皿、レースペーパーの敷物の上に座って、粉雪のような砂糖を振りかけられた
おすましをしたシュークリームはなんだかおいしかった、とても。
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57 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/01 17:09
八月九日(9/30)
俎板のかすかな湿り夕半月 佳音
うっかり洗濯物を取り込むのが遅れると、という季節。
ちょっと前までシャツやシーツがパシッと音を立てそうなほどからりと乾いていたのに。
「露」はまこと秋の季語ですね。
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80 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/02 13:15
八月十日(10/1)
月の雨皿小さしとオムライス 佳音
皿は五枚、大小二種類準備。
はみ出しそうなのは大きいほうの皿の一枚で、玉子は三つ使用。
それでもあっというまに消えていく、皿の上の太っちょの半月。
満腹?それはよかった。
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108 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/03 16:27
八月十一日(10/2)
月の鼻歌ひつかかるラヂオかな 佳音
電波の悪い場所にすんでいる。
携帯電話も家の中で圏外表示が出ることもある。
義母は「ここにラジオ本体を置いて、アンテナはこの角度で」という
黄金のポジションを発見しているようで、自室のラジオは移動厳禁。
それでも時折雑音が入る。
こんな雨の夜には、
ことに。
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128 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/04 11:21
八月十二日(10/3)
盈月やゲームの中に小さき村 佳音
もう何年も子供らに人気のゲームソフトは、小さな村の中で暮らす、ただそれだけのもの。
通信もできるので、友達の「村」を訪ね合って、物やお金のやり取りもできる様子。
座り込んで手のひらの上の仮想世界の村の中で自分の分身達で遊ぶ子供たち。
のぞいてみよか、はまってしまうやろか、月の都のような世界に。
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153 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/05 18:25
八月十三日(10/4)
にはたづみ月のないしよのかたちかな 佳音
雨は雲から降る。
月は雲の上。
ないしょですか?
ないしょですよ、20cmまでの長靴以外には。
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174 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/06 12:35
八月十四日(10/5)
待宵や海はどつちと貝に問ふ 佳音
貝の答えは雨の音でよくきこえませんでした。
あっちかな、海は。
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212 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/07 21:17
八月十五日(10/6)
来年をうたがはぬ子や月に雲 佳音
中秋無月風走る風走る
マンモスと同じ空見る良夜かな
正確に波打つ胸とゐる良夜
十五夜の昨夜は雨に始まり雲の間に間に月。
膝を抱えて待つ、大きな窓の前。

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239 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/08 17:59
八月十六日(10/7)
熱の子の美しき頬月天心 佳音
十六夜の水散薬のいちご味
額にあてた手を頬にすべらせ、その桃のような肌を眺める。
はやくよくなりますようにとお月様にお願い。

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254 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/09 10:36
八月十七日(10/8)
立待のたれもいさめぬ夜爪かな 佳音
夜に爪切っちゃいけないよ、深爪になるし、ね。
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273 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/10 10:49
八月十八日(10/9)
天窓に月がゐるよと呼ばれけり 佳音
しりとりのまたはじまりし居待かな
なぜかいつでもどこでもしりとり。
しんけんにあそぶ、からっぽになるまで。
勝ち負けよりも続くことが楽し、一緒に居ることが嬉し。
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287 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/11 13:03
八月十九日(10/10)
寝待月女性専用車両より 佳音
月に幾度か夜の街を抜け、夜の電車に乗る。
あと二分ほどで女性専用車両ではなくなるというとき、看板に気づき
おたおたと乗りかえる殿方を、なんだか真正直でいいなあと思う。
街猫と抜きつ抜かれつ月の道 佳音

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300 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/12 08:55
八月二十日(10/11)
更待の金魚と話す女かな 佳音
出るかしら、出ないかしら、今日の月。
来るのかな、来ないのかな、まだまだ時間があります、約束の刻には。
雨の匂いの今夜。
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333 【月見れば】 よべのつき 2006/10/13 13:04
八月二十一日(10/12)
うつくしきもの月の夜の灯取虫 佳音
造物主のものさしは誤差あってこその美しさをという目盛りが
刻まれているのかもしれない。
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354 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/14 21:45
八月二十二日(10/13)
半月や紙ナフキンに銀の匙 佳音
紙ナフキンをホルダーにあわせて折ったり、
スプーンを包む手伝いをしたことがある。
ピラフ、カレーライス、オムライス、
みんな大きな白い花のような匙が添えられた。
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369 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/15 16:53
八月二十三日(10/14)
月の舟猪そつとゐる旧街道 佳音
夜に人に会い、深夜に帰宅の路上で小さな猪に遭う。
「あっ、」のあと「おいしいかなぁ」と家族で車中大盛り上がり。
ごめんね、小さないのしし君。
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373 New 【月見れば】 よべのつき おまけ弐 2006/10/15 18:21
<< おまけ弐 『茜色の本』 >>
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386 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/16 11:48
八月二十四日(10/15)
豆本に姫と翁と鬼と月 佳音
月は真夜中に出て、昼過ぎまで空にいる。
眠れないなら絵本でも読もうか、むかしむかしあるところに・・・・。
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403 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/17 10:28
八月二十五日(10/16)
ゆびきりしたの月そつと昇る夜半 佳音
ほんまにほんまやね。 うん、ほんまや。
わすれたらかんで。 うん、わすれへん。
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【月見れば】 よべのつき 2006/10/18
13:04
八月二十六日(10/17)
くちづけの角度の時計朝月夜 佳音
起きて一番最初に見る顔は数字が並んで針がぐるぐる。
何でこんな時刻に鳴るの?目覚し時計君。
まあいいか。今日も晴れ、空がきれい。
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443 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/19 08:13
八月二十七日(10/18)
有明や手乗りの鳥に猛き爪 佳音
青や黄色や、肩よせあって眠るもの、一羽だけ羽を膨らませているもの。
時折ぷじゅぷじゅと寝言。
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472 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/20 13:06
八月二十八日(10/19)
身に入むや唐鋤星の在す朝 佳音
唐鋤星は二十八宿の参宿の和名。
オリオン座の腰の三つの星。
オリオン殿が登場なされば、冬はすぐそこまで来ている。
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486 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/21 11:05
八月二十九日(10/20)
あけぼの月銅の裳裾の盧遮那仏 佳音
何度も火をくぐりつつも、裳裾の銅(あか)は天平の刻のまま残る。
天に向けた掌には人々の願いがあふれて。
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506 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/22 13:02
八月晦日(10/21)
しばらく鳴る非通知電話晦日月 佳音
非通知の文字の光る小窓。
誰なのかわからないけれど、おはよう。
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528 New 【月見れば】 よべのつき 2006/10/23 10:15
九月朔日(10/22)
大輪の朝日蕾の朝の月 佳音
太陽と月の一ヶ月の追いかけっこはまたスタートライン。
新しい月は朔の今日、太陽とともに西へ西へ。
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今日はすでに旧九月二日。
今年の月は雲の中、雨の上にゐる事が多かったように思います。
おつきあいいただきありがとうございました。
では、また、来年。
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おまけ
511 【月見れば】ひでこ編 2006/10/22 16:56
BSの「列島縦断俳句スペシャル」、母子で参加。
娘が「大根」の回に続き、「月」で金子兜太氏に画面上でご紹介いただきました。
草ひきの軍手のにおい月まんまる 坂石ひでこ
空をくんっと嗅いで、「草ひきの軍手のにおいがするね」といった言葉を
「それ、いいね」と彼女の『φ(.. )メモメモ』にキープしていたものです。

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Photo / 句: 坂石佳音
2006.Oct