かのんのキョロキョロ日記

    よべのつき二〇〇四 ― 上野城観月薪能 ―

     


               

    2004.9.28 十五夜

     

     

    昨日は仲秋。
    今年も上野城の観月薪能に行って参りました。昨年同様娘と一緒です。

    ちょっと早めに出て、時折雨の落ちてくる中、上野城に到着。
    観客席は後ろ半分は椅子が置かれ、前半分はブルーシートと花茣蓙。まだ人は少なく

    前の方中央に持参の小座布団を二枚置きました。

    おにぎりと月見団子を持参していたので、田楽の屋台(豆腐)などを物色していると、

    月から良く見えるであろう場所にお供えがあり、それぞれ芋・栗・茄子・団子、そして

    一番上の段には粒の見えるお酒を満たした酒器。

     

     

        

     

     

    萩尾花伊賀の天守は風の中

     

    濁り酒天の雫の二つ三つ

     

     

    どうにもお天気が思わしくなく、市長の挨拶の第一声が「さっきからずっとお祈りを

    してます」でした。空のご機嫌のいいうちにと、本来でしたら18時開始のところ、

    まだ日の暮れぬうちの早めの火入れ、開演となりました。

     

     

     

     

    裃を困らせてゐる雨颱風

     

    にはたづみまだ空にある無月かな

     

     

    月は見えないの?いえいえ、まだこれからこの雲が流れてくれれば・・・しかし月が

    ここから見える高さまであがるのは20時頃。

     

    昨年は暑かったのですが、今年は上着をどうしようか?という具合でした。

    金春流能『葛城』、大藏流狂言『萩大名』(『鬼瓦』の予定でしたが変更)、観世流能

    『鵜飼』と、かなり明るい中、ぱらぱら飛んでくる雨にドキドキしながらの鑑賞です。

     

     

     

          爽涼やひやうと天衝く笛のこゑ

     

           月の雨シテの扇のふるへをり

     

     

     

     

    結局、最後まで月は雲のむこうがわに気配だけを漂わせ、顔を見せることなく終わり

    ました。

     

     

     

    帰り道は途中から本格的な雨。どうしてこんなに天気が違うのだろう?というほど、

    このあたりは場所により空のご機嫌が異なります。

     

     

    ワイパーのかなはぬ帳月の雨

     

           雨名月ささにごりなる岩の窪

     

     

    大雨の中帰宅し、何かと片付けて、夜半外に出てみればやはり流れる雲の見えるのみ。

    でも、雲が朧に色を変えているそこにいるのでしょう?

    まあるいまあるいまんまるい。

    また来年、あいましょうね、年に一度のお月さま。

     

     

    ののさまに雲たうたうの夜長かな

     

     

    かのんのキョロキョロ日記、上野城観月薪能(2004)編でした。

     

     

    2004.9.29  Photo / 文 / 句: 坂石佳音

     

    本当に冷えていない?
だいじょうぶ?