まいまいクラブ

ケータイ写真俳句吟行

 

2010年3月

 

 

2010.3.7 ()

 

 

 

わたしは基本的に泊まりのお出掛けは出来ない。

と思う。

でもどうしてもの折はお願いして出かけたことも。

(参考:キョロキョロ日記『増殖する俳句歳時記十周年編』

 

 

さて、毎日新聞まいまいクラブのケータイ写真俳句で

2009年の年間金賞をいただき、表彰(新年オフ会)が

東京であったがこれは先約もあり失礼させていただいた。

「では、四国松山の吟行句会は?」というお誘いも

かなり考え、松山は行ってみたい町なので計算したら

始発で出て、ちょっと遅刻して参加、終わってすぐ飛び出て

終電で帰宅というわたしならでは(?)のパターンで

どうにかなることがわかり、釣人(夫♪)に

おそるおそるおうかがいをたてたところ、

「日帰りできるならいいんじゃないか?」とのこと。

即答だったのをいいことに「夜行バスなら深夜に大阪を出て

向こうに朝一番につく便があって、安いんだけどなー・・・」

と言ってみたら、『安い』が効いたのか「ええんちゃうかぁ」と.

「♪」

 

 

 

 

>゜))))彡

 

 

 

 

「いってきまーす〜♪」

3月6日、家事を終わらせて出発。

いつもなら句会が終わり帰る時刻に、いつもとは反対方向に進む電車に乗る。

 

 

 

 

前に足す二輌の客車冴返る

 

灯少なし春の夜の伊賀盆地

 

 

 

 

 

 

街は光の洪水。

23時過ぎ大阪発のバスは満席で、(二台出ていた)

旅慣れた人々は化粧を落し毛布をかけて寝支度を。

わたしも毛布をかけておやすみなさい。

 

 

 

大阪の雨見て眠る春の夜

 

 

 

 

>゜))))彡

 

 

 

 

 

 

 

おはようございます。

予定の5時45分よりも15分も早く道後温泉駅に到着したバスは

次の停車地に向かって走り去った。

残ったのはわたしひとり。

 

 

 

 

 

 

 

伊予鉄道の道後温泉駅は路面電車の始発駅で、坊ちゃん列車も

日に何便か発着しており、駅舎も可愛い。(ようだ、なにせ暗いので見えない)

しかしまだ5時半、商店街に入ったが、当然どこも閉まっている。

まるくなって眠っていた猫が顔を挙げて挨拶をしてくれた。

 

 

 

つとめてや額やはらかき春の猫

 

ウインドウの眠らぬ男雛女雛かな

 

 

 

商店街の突き当りを右に曲がったらその奥に灯が見える、

道後温泉本館だ。

 

 

 

 

 

 

道後温泉本館は6時開店。もちろんまだ20分ほどあるのだが、

どこかのホテルのマイクロバス(複数)から降りてくる宿浴衣に手籠の人々や

地元の自前の桶と入浴のためのセットをさげた人々で、

店の前はみるみるうちに行列が出来た。

6時の少し前にチケット売り場が開き、おのおのチケットを購入。

6時の太鼓が響けば一同どっと屋内へ。

それぞれの方向(チケットによって進む順路が違う)に人がどんどん流れて行く。

誰かが「ゆばーばが出てくるかもね♪」とささやいた。

わたしもそう思う、ジブリの映画『千と千尋の神隠し』の雰囲気の廊下、そして階段。

(映画のスタッフが参考になさったとかなさらなかったとか。)

キョロキョロしていたらマイ桶持参のおねえさんに

「こっち」と教えてもらった。

 

 

『道後温泉 本館』

 

 

 

  

 

 

 

 

  

 

 

 

チケットは数種類あり、わたしは神の湯二階(浴衣・お茶・煎餅つき)を。

(タオルやバスタオルは別料金でミカン石鹸つきのレンタルあり)

神の湯の風呂は一階にあるのでまずは二階の広い広い座敷で

身支度を整えてから階下へ。

ほどほどの混雑の湯船の中、ゆっくりと手足を伸ばし、

浴衣に着替え一時間の持ち時間を過ごせば、

いくら車中では眠っていたとはいえ

少々むくみ気味だった足もすっかり心地よくほぐされていた。

立派な茶托のお茶と煎餅をいただき、道後温泉本館を出る頃には

つい一時間前には暗かった町に朝が訪れていた。

投句箱も発見したり。(投句用紙が無かった)

 

 

 

春融や振鷺閣より刻太鼓

 

春寒し鏡の前も階も

 

思ふより深き神の湯燈朧

 

春の湯に浸す女の鎖骨かな

 

春燈や降りみ降らずみ伊豫の雨

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

道後温泉本館の周囲を一周して、まだ眠っている(朝7時過ぎですので)

商店街を抜けあちこちウロウロと。

先般『BS俳句王国』出演で松山入りした句友の和香女氏のお話の通り

ここは歩いて楽しめる規模の町で、地図(プリントして持参)で見ているよりも

かなり歩数少なく目的地にたどりつく。

しかも朝も早いので、足湯は無人、すれ違うのは

犬の散歩やジョギング、ウォーキングの地元の人々のみ。

気持ちいい。。。。。

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

春あけぼの湯神社の磴濡れてをり

 

そろそろと下る石段花椿

 

小米花昨夜のしづくをはらひをり

 

 

 

神社やミュージアム(外観のみ)、公園を一通り廻り、また商店街に

戻ったのが9時頃で、到着時に出会った猫は朝ごはんをもらっていた。

駅前の観光案内所を覗いたら、わらび座の『正岡子規』のポスターが。

わらび座は以前伊賀のさまざまホールで『ミュージカル奥のほそ道』を

観て以来、娘と二人ファンになった役者さんがいらして、

できることなら観たかったが、残念ながら初演が4月3日。

(娘も一緒じゃないことだし、まっいいか。)

 

 

 

 

 

 

   

 

 

わらび座『正岡子規』(坊っちゃん劇場)

 

 

 

 

9時になるのを待って子規記念博物館に入場し小一時間を過ごしたのち、

道後温泉駅から路面電車で松山市駅へ。

今回の主目的のまいまいクラブの吟行は11時集合。

 

 

 

なじみ無き市外局番春の駅

 

春天やぽぽうと坊つちゃん列車過ぐ

 

はんなり白きマドンナの春日傘

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これはあとから大高翔氏からうかがったことだが、松山はJRの駅より

松山市駅辺りのほうが賑やかとのことだ。

松山市駅に到着し、時間も少々有ることだからと

遅めの朝食をいただこうと入った百貨店のティールームに

大高翔氏ご本人。(打ち合わせ中)

挨拶だけしてほろほろっとモーニングセットを食べて

集合場所に着いたら、お馴染みの会員さんがたくさん集まっていた。

打ち合わせを終え現れた大高氏の案内で、まずは子規庵へ。

集合写真を撮った後は各自撮ったり詠んだり。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

子規庵を出て路面電車で大街道駅へ。

大街道はロープウエイ街と呼ばれている

松山城の膝元にひろがる大きな町。

歩いていたら新しげな店からきれいなお姐さんが出てきて、

早速まいまいクラブ一同で取り囲んだ。

 

 

 

 

 

 

ここ、『乙鳥』(つばくら、燕ですね)はお茶屋の雰囲気を昼間気軽に

味わってもらいたいと松山検番(検番はお茶屋や芸妓の組合)が

新しく開いた店のようで、店の名は中村草田男氏の句から

いただいたとのこと。

 

 

 

 

 

 

 

はらからの肌のぬくみ乙鳥

 

格子戸にかかる指先花の雨

 

店の名の入りし番傘風光る

 

白梅の凛々しき水の匂ひかな

 

 

 

 

 

 

 

『松山検番HP』

 

芸者・松山検番・松実会

 

 

 

商店街の中、今話題の秋山兄弟の生誕地を見学したり、大高氏おすすめの

菓子舗を覗いたり。(売り切れ、ザンネン。)

 

 

 

春昼や人妻に買ふチョコレート

 

 

 

大街道の駅からそれほどに歩いている気はしない距離に森、

そこに萬翠荘があり、その奥には本日の句会場愚陀佛庵がある。

隣接して坂の上の雲ミュージアムもあり、自由行動になったので

敷地内の小さなお店で昼食を頂いた後そちらを覗くことに。

 

 

 

 

 

     

 

 

 

 

春霖や梢の好きな伊予の鳥

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

ものの芽や銀鼠色の伊予の雨

 

愚陀佛庵より春霖のひとしづく

 

 

 

 

 

 

今回も全員二句投句(写真二枚)で、そのうち一句に大高翔氏がコメントを。

広くは無い愚陀佛庵の中でぎゅっと座っていたら

見たことのある人が入ってきた、あらあら座っている・・・と思ったら、

つい先日「三重県全国俳句募集 第15回記念事業シンポジウム」で

お顔を拝見した八木健氏が飛び入り参加。

名刺が二つ折りになるほどたくさんの肩書きを持つ八木氏は

現在愚陀佛庵の管理者と毎週火曜日に愚陀佛庵で開く句会の主宰もされている。

大高氏とは『BS俳句王国』にて一年間一緒にお仕事をされていたので

懐かしい話や、八木氏主宰の滑稽俳句協会のこと、浪曲のことなど

おうかがいする機会に恵まれた。

(句の講評もご参加、もちろん投句もいただいていた。写真付き!)

 

 

『滑稽俳句協会』

(三重県でのイベントのことも下の方にあり)

 

 

本日の三賞の表彰の後、年間賞の表彰もしていただき、

副賞に大高氏の本をいただいたり、

八木健氏も一緒の集合写真を撮ったり、

(毎日新聞3月13日朝刊掲載)

今回も楽しさてんこ盛りだった。

 

 

 

 

 

 

帰路はバスではなくJR利用で切符は買ってあったので、

三度目の路面電車でJR松山へ。

伊賀も投句箱はあちこちにあるが、

ここは路面電車の車中にまで投句箱があった。

今、息子が自動車教習所に通っているので電車用信号を撮ってみたりしつつ

たどりついた駅は・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大高翔氏の仰った通りの静かな駅だった。

実は愛媛に両親の実家があるわたしは今まで何度もこのあたりを通過していたが

松山駅で降りたことは無い。

駅構内で売られている駅弁の「しょうゆめし」は停車中や車中の

売子さんから買って食べた懐かしい味なので、夕食はそれにした。

 

 

 

 

 

 

買はずともよき本二冊春時雨

 

暮れゆく窓のそのさきの春の海

 

山笑ふ新幹線に長き鼻

 

 

 

 

乗り換えごとにバタバタキョロキョロしつつ、

・・・・・・・

そしてきっぱり終電で帰宅した。

 

 

 

 

 

 

以上、長々とかのんのキョロキョロ日記でした。

あ、ひでこにはぜったい「バスで」一緒に行こう、そして乙鳥で

お茶もいただこうと『やくそく』させられましたとさ。

 

 

 

 

 

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2010.3.17

 

 

 

写真/文/句:坂石佳音

☆写真:志鷹氏提供