かのんのキョロキョロ日記

上野でござる三日間駆け回り編

 

 

 

2004.10.10・11・12

 

 

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「かあさん、今日は小さな虫がいっぱいね・・だいじょうぶ?」とひでこ。

私を上野に送る車中です。一緒に行きたいのに連れて行ってもらえないので拗ねて

いるのでした。

 

 

ぬかばへに好かる車と伊賀の道

 

 

 

 

秋天を睨めて伊賀路の古瓦

   

いきなり二句ですが、二日目は吟行でした。私は宇多喜代子氏の『草の庵コース』

(約三十名)に参加。(一日目、二日目とも申し込み制でした)

他のコースも有馬朗人氏や星野椿氏、山田弘子氏、宮田正和氏と、どのコースも俳人さん

と一緒。

 

なお、今回のキョロキョロの二日目の分は宇多氏のお別れ前の、

 

「みなさん、今日は帰ったら吟行句が三十句ぐらいできちゃうわ♪」

 

のお言葉により、出るかな出るかな?三十句構成です。ああ、・・・

 

秋のこゑけふはざわざわざわわかな

   
十月に神安堵する吟行日

   
騒客のふるはす桜紅葉かな

  
 秋暑し踏みしだかれて鳩の羽

   
水澄むや猫に触れたるたなごころ

 

どのコースも芭蕉が『貝おほひ』を奉納した上野天神宮が出発点です。まずはお参りを

すませて、出発。草の庵コースはこの後市内散策しつつ、蓑虫庵に向かいます。

 

楽器屋の看板犬の秋思かな

   軒低き好む燕の去にし天

 

仕舞屋のつくわみて見む藤袴

 

伊賀には『伊賀まちかど博物館』があり、この商店街にもその看板を出しているお店や

個人のお宅がいくつか。和時計や古いカメラを展示した時計屋さんであるとか。しかし

その看板が無くても蝿捕紙を置いていそうなあらもの屋さんとか、塩屋さんとか、

知っていたような懐かしいようなお店が並んでいます。

私は途中できれいなお庭を見つけ、持ち主の好意で中を拝見させていただきました、

中の建物の扉には『四方山房』と。浜辺万吉氏のアトリエだったそうです。中は秋一入。

 

柚子のあをセイジの緑四方山房

 

なにせ、この二日間は『国際俳諧フュージョン』ですので、前述のように海外からも

俳人さん。草の庵コースにはウイリアム氏&ペニー氏ご夫妻、ラファエル氏がご同道

(もちろん通訳付き)でした。私は何故か途中からボストン俳句協会のラファエル氏と

ご一緒するように。(なんでやねんなんでやろう?この日々草のせいや!)

 

爽籟HAIKU三行記す指

 

三行と一行眺む草の花

 

 

 

 

色々じっくり見すぎて、すっかり遅れてしまったので、駆け足駆け足。ホトトギスが

咲いていたり、犬やらいがあちこちにあったり、それらを目で追いつつ駆けて、角を

曲がれば『蓑虫庵』でした。

蓑虫庵は芭蕉翁五庵の中唯一現存する庵です。大きな壺にいけられた秋に迎えられました。

 

草庵のはらりと迎ふ尾花かな

   
いはずとも吾が柘榴と赤ら顔

 

中を自由に散策。説明を聞く人あり、あちこち覗く人あり、英語が出来ず困る人あり!

椿って何?かめりあ?この樹は?あー??? でも、なんだか楽しい♪

 

芭蕉句碑穴の向かうの往んじ秋

   
a bagworm 蓑虫ほがらほがらかな

   
みなし子や土芳がやどの縁の下

   
大きくてやよちちよなる芥なる

   
素風喰らひし抜け殻の残る枝

   
ボストンに連れ帰るてふ伊賀の秋

 

椨の芽の豆球ほどの赤みかな     (椨:たぶ)

 

 

ラファエル氏とおしゃべり(・・・はできませんから何とか意思疎通するべく二人

ジタバタ)をし、私が『英語といえば清水さま!!』と思い出したので清水国治氏の

英語俳句と俳画のHPで、その説明をしていたら、ひょいとのぞいたウイリアム氏が

日本語で(←ポイント♪)「清水国治さんのこと?」と。

 

か「そーーーーですーーーーー(>_<)」
W「わたしの句もあるよ」
か「うわーーーー、帰って拝見しますーーーーーー(T_T)」

 

http://www.mahoroba.ne.jp/~kuni_san/haiga_gallery/

 

W氏の俳画はpage10にあります、私はpage43)

 

・・・お名刺を頂戴し、各氏のメールアドレスを頂戴したのでした。
ああ、英語で来るメール、どうしよう。
でもウイリアム氏は「めーる日本語もいいよ」と仰っていただいたので
よかったー・・・・でもラファエル氏は英語かな。う゛

蓑虫庵からはバスで昼食場所に行き、そこで投句。のち本会場であるホテルへまたバスで。

なんてたって吟行ですから・・・って、吟行ではなくてもキョロキョロするのですが、

バスの中からもキョロキョロ。近い町なのに知らないことの多さ。

 

樋好み生ふる一尺松手入

   稲雀街の雀と集く枝

   
見ぬ道はいつか行く道秋時雨 

 

吟行の後シンポジウムがあり、世界俳諧(つまりは俳句や連句)に関しての

お話の後、質疑応答ご意見コーナーでついうっかり手をあげ、短い連句のことを質問して

みたり、インターネット上の作品の「発表」「未発表」の概念を質問してみたり。

 

吟行の結果?はははははははぁ、 というわけで、句はふるいませんでしたが、またも

人との出会いにおいて実り多き日でした。(こわいもの知らずといわれます)

そして、わかっちゃいたけど言語力のなさも痛感したのでした・・・・。

 

幟には翁の笑顔秋没日

草虱ふたつ小旅を了はりけり

 

明日はいつもの大阪の句会ですがそれはお休みして、おとなしく家に・・・いません。

遊びすぎや?はい。

 

えーっと、句は幾つになったかな・・・まあいいか。 こんな風に、二日目は暮れました。

 

 

 

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               2004.10.13  Photo / 文 / 句: 坂石佳音




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