かのんのキョロキョロ日記

    「かつこかのんを双肩に」編

    2004.7.31〜8.1 東京

     

       

       

      半年前、無謀にも東京の句会に参加することにした。日帰り・・と思っていたが、

      半年間の精進(笑)の末、外泊許可をとり、同居の義母、両親、夫、子供達に留守を

      お願いすることとなった。

      さて、不案内な東京、どうしよう、そうだ、私のネットの愛娘かつこさまに相談しよう。

      「うちに泊まればいいわん♪」

      まことかろやかにかつこさまはそういい、私の東京行きはなんとも心強いものとなった

      のでした。

       

      今回参加したのは、「インターネットで俳句」というと、たぶんどなたも一度は

      のそいたことのあるのでは?というサイト、『増殖する俳句歳時記』の八周年

      記念句会で、日々それを増殖させておられる詩人の清水哲男氏の

      「どんな人がここをのぞいているのか・・・一度会ってみたい」

      というよびかけにより、七十人の句会が実現しました。その七十人の中に私と

      かつこさまもいたのでした。他にもいつもお邪魔している『つぶやく堂』の

      お会いしたことのあるかた、無いかた。そしてこの句会用に用意されたBBSにて

      お喋りしてきた皆さまに会える。ああ、早く来い七月!

       

       

      ところが七月も最後の週になって、困ったことが。清水哲男氏は雨男なのです。

      半年も前から氏が恐れていた台風が、日本の南の海に居座って動かない!!我が娘

      ひでこの強力特大三人てるてる坊主もパタパタと落ちてしまい、どうしよー!!!

       

       

       

      句会当日、三重県は大雨に大風との天気予報でした。実際風は強く、駅への道には

      バス停のベンチや置看板など倒れているものがいっぱい。

      まずは近鉄に乗り名古屋までの車窓には嵐・嵐・雨・雨・雨・トンネル・あめ・

      トンネル・あ?やんだ。

       

         東の稲の花見る小旅かな   佳音

       

      名古屋駅に到着し、新幹線ホームに上がる頃は風もそれほど無く、のぞみ二号に

      それぞれ岡山、新大阪から乗っていらしたお二人の隣に座り話に夢中になっている

      間に新幹線は東京駅に到着。

      ここで、句会に参加なさらない友人との昼食の約束があり、そのご準備に奔走して

      いただいたのもかつこさまです。

      待ち合わせ場所は八重洲北口、私たち三人は、とりあえず迷わなきゃならない

      『百人町あらため東京中を迷い隊のぞみ2号組』ですから、まずは南口。(ありゃりゃ)

      仕切りなおして北口へ。

      改札の向うにはかつこさま含む三人の姿。

      「こんにちは、おひさしぶり」もそこそこに出発!なんてったて時間が無いのよ。

      時間の無いわたしたちのためにかつこさまが探してくださったのは八重洲北口の大丸の

      十二階『東京洋食』というお店です。

       

       

      http://www.rubyhall.jp/Restaurant/Launch/index.htm

       

      あらかじめ注文しておけば、座ればすぐに食事が出来るようにしてくださるとのこと。

      六人ともなぜか(きっと「とろける」に負けたのだと思ふ)「とろけるデミオムライス」

      それが座ったらほんとうにすぐやってきた!

       

       

       

      さて、のぞみ二号の東京着が十一時半。ここは東京八重洲口。大久保の俳句文学館に十三時には座っていなくてはならない。どうする? 

       

      11:30 東京駅着 
      11:40−12:15 昼食
       (ホームへ移動 5〜10分)
      12:25−12:45 大久保駅着
      12:45−12:55 駅から徒歩で、俳句文学館へ

       

      というかつこさまの綿密な計算と準備、一同の一糸乱れぬ(ウソ)団体行動により、

      「オムライス、大きすぎよ」とか「これ何分で食べるの?」とか言いつつも、食後に

      写真を撮りあったり、写真をみせたり、私が東京に養子に出したコットンベア

      『熊悟朗』と再会したり、(HP『かのんくら』「ゆき」参照)なかなか濃密な

      時間でした。

       

      「ごちそうさま、ありがとう♪」と、お店の皆さんにご挨拶して、さあ急げ!!

      先日先行して下見にお出かけのかたのご案内で、「いきましょう♪」とずんずんずん。

      我々もずんずんずん、でも「あれー、あの日はねぇ・・たしかぁ・・・」ああ、東京、

      線路がいっぱいあるんだからぁ。でも大丈夫、私たちには遊びの神さまがついている

      から、迷っても楽しいことには遅れないのです♪

      大久保駅は下見レポートに従い、出口を間違えずに出て歩け歩け、おお本当に

      不思議な場所。あれなにこれなに、駄目よ急げー!!

       

       

       

      つつじ枯れ枯れの百人町の俳句文学館到着は十二時五十分でした。(みんなで「セーフ」

      ってやらなかったですね、糸天狗さま。)

      受付にて記念品のTシャツと投票用紙(天地人六句を書く)をいただき、

      「もうはじまるわよ」といわれ中へ。えーーー、どうしてみなさんそんな壁際に。

      すでに椅子を並べて座っている約60人。我々はあわてて椅子をとりに外へ。

      そして真ん中に堂々と座りました。

       

      句会の様子はこちら

      http://www.nava21.ne.jp/~chez.ima/kyoro18.html

       

        

       

       

       

       

      和やかに句会は終わり。

      でも、せっかくだからもうちょっと一緒にいましょう、とスタッフの皆さまがご準備

      いただいた二次会の会場は、徒歩トコトコの距離。こっちかしら、あっちだろうと歩く

      我々の上は輝く青と白。 朝の荒れ模様が嘘のような空です。

      しかも発熱していると聞いていた東京なのに心地よい風。


       

      二次会の会場は新大久保の『さくら水産』です。(http://www.teraken.co.jp/

      ビール、焼酎、あら、升の酒? お造り、枝豆、イカ姿焼き、それより皆の笑顔です。

      あっちのテーブルこっちのテーブル、座ったきりの人、入れ替わる人、座っちゃいない

      人。十六時半に始まった宴は果てしなく続きました。

      やがて、ひとり、ふたりと流れ解散、本日お泊りの私は余裕の居残り。

      お帰りの皆さまを地下の店から地上まで見送りに出てはまた地下へ。私は以前体を

      壊してからアルコールはいただきません。かつこさまも今日は控えると二人とも冷たい

      玉露茶のグラスを握って、そろそろ今日が終わる時刻までお喋りしていました。

       

      でもいくらなんでも・・もう行こうかと、スタッフとして奔走していらした土肥あき子

      さまにお見送りいただき地上に出れば、空には大きな月。

       

         明日満つる月羅のワルキューレ   佳音

       

      カタタンカタタン電車に乗って、かつこさまの家へ。

      早速PCを立ち上げ、BBSめぐり。書き込みをしたり、冷たいお茶をいただきながら

      本を見たり、水中花も咲かせてみたり、お風呂も入ったし、いいかげん寝ようよ・・・

      うん、よい子は寝るのよ・・・それでね、・・・うんうん・・・だからさあ、・・・・

      それはきっと・・・・ あれ?新聞屋さんの音?寝よ。ZZZZZzzzzzz

       

       梅干とゆかりふりかけ

       

      おはようございます、ああ、よく寝た。

      やはり朝(?)からPCチェック。不思議よね、まだ二度目の顔合わせなのに、

      ここにいる。インターネットって、不思議ね、とつぶやきながらとっとと身支度。

      だって、今日は谷中散策なんです♪

      どこに行く?と言いながらまずはなぜか古書店へ。(本屋があればのぞかずにいられ

      ない性分です)

       

      「かのんさん、それ買うでしょう」

      「買えへん、荷物重いのに・・・」

       

      そう、私はいただいたものや持参した本の入ったやたら思い鞄をそのまま帰るつもりで

      持って歩いているのでした。

       

      「でもかうよ、だって、その本抱いてるもん」

      「ゔ―――― これ一冊だもーん」

       

      本屋のお姉さんがにっこり「送りましょうか」と言うのを振り切って一冊でガマン、

      (結局買うたんや、すんまへん)谷中銀座へ。

      飛び込みたいおもしろそうなお店、かつこさまがサイトにアップしているスポット、

      そして猫をゆるゆると訪ねました。

       

        いいお天気♪ 

       

        

       

      昼食は(お気づきでしょうか、お昼まで寝てました)「川むら」にて大葉と茗荷が

      ふんだんに入った冷たい「香りそば」。そば茶もおいしかったー。

      かつこさまは幾度も私の重い荷物を気遣っていただくのですが、これを持って

      いなかったら、きっとあの買い物篭や洗濯板やトマトや竹細工の沢蟹や、あーー。

      買うたら重いからアカンアカンの戒めの鞄です。

       

         夕焼だんだんまたトマト買うてをり   佳音

       

      ・・・買うてません、でも安くてたくさんあっておいしそうでした♪

       

        

       

      せっかくだから『子規庵』に行こうと谷中の墓地を通り抜け。必ず迷うと言うかつこさま

      でしたが、(実際この日も迷ったそうですが、そうかなぁ・・・)土と木陰の涼しさ、

      そして何故か今年は我が家近くでは聞かない蝉時雨を楽しみながら御隠殿坂を下り、

      俳句文学館同様不思議な街の中へ。

       

        


      「ごめんください」と入れば正面は庭。鶏頭が咲き、大きな糸瓜が揺れていました。

      子規の机で記帳をすれば横には句を書きなさいとノート。

       

       子規庵にて

         へちまへちま六つ角ある文机   佳音

       

      お庭にも回ってみようと重い荷物を預け外へ。あちこちに空蝉。中には


        空知らぬまま蝉の名を宣らぬまま 佳音

       

      鞄を受け取って庵を辞し二歩三歩、「あ!!」

       

         子規庵に忘れかつこの夏帽子   佳音

       

      おうちに入ったらお帽子は脱ぐ、が災い?でもすぐに気がついてよかった・・・。

      (私、上着をかつこさま宅に忘れました。ごめんなさい、かつこさま。)

      子規庵から子規お気に入りの湯どうふ屋「笹の雪」の前を通って、山手線で上野へ。

       

       手前、買い物制限ギブス青の鞄

       

         日暮里や蝉裏返してもみたり   佳音

       

      蓮を見ようか・・・いいね、 アメ横は?・・・行く! という私は主婦。

      上野駅にて鞄をコインロッカーに預け身軽になって出発。

       

         アメ横のだみ声続く暑さかな   かつこ

       

      かつこさまの句そのままに 「やすいよやすいよやすいよやすいよやすいよやすいよ・・・」

      胴間声時雨?どこかで聞いたことがある。そや、黒門や。「安い!!でも、買うても

      持って帰られへんねん」と断念。 

      くやしいから(ちゃうちゃう・・って、なんでいきなり関西弁)果物屋さんでアイス

      キャンデーのようにカットした果物を棒にさしたものを買いました。

      パイナップルやスイカにひかれつつメロン。そのままがぶり!美味しかった♪


       

       

      誘惑の通りを終え、不忍池へ。


       

       

      なんて大きな蓮!!! いつもお写真で見せていただいていましたが、こんなに大きい

      のおおおお、と振り向けば骨董市がたっている。

      古着(着物)が吊ってあったり、繕いのある焼き物があったり。

       

         虫干しや袂短き母の衣   かつこ

       

      という句がありましたね、かつこさま。

       

      さて、その一軒で立ち止まってしまいました。

      寝そべっている陶製の猫!

      私はお辞儀をしている招き猫は持っていましたがこれはまたかわいい。

      大きいので陶枕かと思ったのですが、背中が猫背っぽいから枕にしたら痛いかしら。

      招き猫コレクターの友人にお誕生日にあげようかしら・・とかつこさま。

       

      にゃおにゃお  

       

      「えへへ、買いなよ」と勧めていたら、今度は私が動けなくなってしまいました。

      灯籠なのですが、最初は金魚の形のものが見えて、その隣のミミズクに目が釘付け。

      どうしても昨日お会いしたどなたかに見えてしまうのです。

      「これ、灯籠ですよね、でも香炉にもいいですよねぇ・・・」

      煙をくゆらせるとますます似ている、あー、どうしよう!!!!

       

       金魚もなかなか

       

      「上着と一緒に送るよ、買えばぁ」

      こんどはかつこさまが勧める番です、負けちゃいけないわ、

      「かつこさまはその猫はぁ?」

      「えー、でもー、1800円かぁ」

      「うん、私は三重まで帰るのよねぇ、荷物持って・・・」

       

      「あのー、えー、勉強して、1200円で・・・」 と店主。

      「両方とも?」(両方とも1800円)

      「両方ともです、はい。」

       

      二人きっぱり店主に大敗して、お荷物を下げて歩くことになりました。

      「ねえ、かつこさん、似てると思わない? この灯籠、テツヲさんって呼ぼうかな」

      「はははは、そうしたら?」

      ところがこのテツヲさん、やたら重い。

      「ああ、やはり鞄を預けて身軽になったのがいけないのねー、買っちゃったよー、

      でも、このテツヲさん、これだけでも重い・・」

      と最初はさん付けだったのがだんだん暑くなり、「テツヲ、重いぞ!」

      でもそのテツヲさんを私は送ってもらわず三重まで抱えて帰ったのでした。

      もちろん家苞に「うふプリン」なるものまで買って。

       

       

       

      上野駅でお茶を飲みながら本当に不思議ね、とまた。

      インターネットで俳句をしなければ、どう考えても接点の無い私たち。大阪で

      たった一度顔をあわせたきりの私たち。

      それは昨日の七十人も同じこと、お昼だけご一緒したかたも同じこと。

      不思議ね、ううん、私たちにはきっと言葉遊びの神さまがついているから、楽しくて

      ・・・それでいいのだ♪

      「ありがとう、おせわになりました」

      「またね」

      「うん、またね」

       

       

       

      東京駅は陽が西に傾きつつあり、今夜の月が東のどこかで出番を待っていました。

      新幹線を降り、近鉄特急に乗る頃、お待たせ、と大きな月。

       

         夏満月母の字にある星ふたつ   佳音

       

         夜の秋影を谷中に忘れけり     

       

      ありがとうまたね、みなさま、かつこさま。

      そして、ただいま♪ ありがとう子供達。

       

                   おつかれさま。 

       

      かのんのキョロキョロ日記でした。



       

       

      今回のタイトル「かつこかのんを双肩に」は、つぶやく堂にてかつこさまの

      お誕生日を皮切りに『誕生日季語』が始まる前の年、一日違いの誕生日の私と

      かつこさまに清水哲男さまがこんな句を詠んでいただいたことがあり、

      そこから持って参りました。(かのん)

       

      □ 2734  

      15 May (Wed) 17:59 返信する

      From清水哲男(三鷹) URLhttp://www02.so-net.ne.jp/~fmmitaka/

        五月富士かつこかのんを双肩に  赤帆


      うむ、力強い句がでけた。おめでとうございます。今後とも、お健やかに。

       




          そしてこれが忘れてかつこさまに送ってもらった「正装」の上着。 

                 

                   2004.8.5  Photo / 文 / 句: 坂石佳音




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