福祉への住民参加を考える
コンセプト
・障害の有無や国籍を問わず、胎児から高齢者まで安心して暮らせるバリアフリーな地域社会
・住み慣れたところで多様な人たちとの交流を持ちながら住み続けられる地域社会
・住民一人ひとりが自己実現できる社会
『重い障害のある人があたりまえに暮らせる地域社会』をめざせば、誰もが住みよいまちになる。
仮定(条件)
1.住民参加が今後の行政品質の指標となっていく
理由:サービスの課題や問題も含めて内容を十分把握・評価できる直接民主主義の一形態
ボランティアも含め参加することで生きがいを見いだし、予防につながる2.参加手段や形態はIT技術の一層の進歩により多様に広がる
理由:バーチャル会議は実現しており、重度の障害のある人にとって、こうした手段の確保は必須となる。人と機械のインターフェースも「話せばわかる」、「考えれば動かせる」など現在よりはるかに容易に操作できるようになる。3.サービスを必要とする人と提供する人が有機的に結ばれるシステムの構築ができる
理由:どんな社会でもシステムは重要。プラットホームシステムは個人参加のみならず団体参加も可能で、プラットホーム同士の連携は解決策を多様に展開できる。4.その人の能力に応じて必要な技術や知識を容易に習得できるシステムがある
理由:学習や研修機会の提供は重要。行政直営ではなく多様な実施主体がオリジナリティーあふれる研修スタイルを提供していくことで、住民参加は一層広がる。ただし、障害のある人が参加できるようにするなどミニマムを保障するガイドラインの制定は重要。当然これを決定するのも住民。5.必要とする移動手段を容易に入手できる
理由:加齢や障害によって移動手段がないために社会参加できないことが多くあった。こうした人たちに視点をあてた交通体系を構築する。6.居住生活を基本に施策を展開する
理由:多くの人が住み慣れたところで住み続けたい、家族や友人といつも交流したいと願っている。これを実現できるのは”居住生活”。公営住宅を含む住宅のバリアフリー化をすすめ、重い障害のある人がふらっと外出や訪問できる住宅をめざすことで脱施設化をはかれる。これまでの約1,000件に上る住宅改修の中でトイレ、風呂、出入り口の段差の3箇所をクリアすればかなりの重度の人も生活できる。加えて不必要な箇所まで改善すればかえって使いにくくなるため、改良前に本人の身体機能や家屋構造などを十分評価し詳細なプランを立てて(建築士・作業療法士・社会福祉士のチームで訪問)改修する。この結果、平均15〜20万円程度の改修で十分機能している。当然それ以上のコストをかければもっとよくなる。障害の状況や家屋構造に応じて住宅改修補助額が加算されるしくみが必要。施設での生活が安心できるのは、必要なときに看護師又は介護のプロがすぐ来てくれることにある。在宅でもいくつか拠点を設け、訪問看護や訪問介護がナースコール的なもので必要なときに訪問できる体制を取れば在宅生活は十分可能。現在でも要介護5で重度の痴呆の独居者や寝たきりで要介護5の人が一人で暮らせている。
以下は現在の介護保険の課題と対策案
1.施設入所
現在入所希望者が殺到し、在宅を基本としてスタートしたはずの介護保険が施設保険になってしまっている。
背景:
・高所得者にとって入所にかかる経費が激減した。年収800万円、老親が平均的な老齢厚生年金受給者の場合の世帯が特別養護老人ホーム入所にかかる本人の負担額は14.9万円/月、扶養義務者は4.1万円/月 合計19万円必要だった。
介護保険制度では要介護5の人で介護・看護職員3:1の標準的な施設に入所した場合、1割負担額33,696円+食事代22,800円= 56,496円+通帳管理費などの雑費(1,000円程度)ですむ。食事代込みでアパート代より安くてケア付きという状況では殺到するのも無理がない。
・特別養護老人ホーム入所は従来は措置(入所判定委員会)によって真に入所が必要な人が入所できるしくみを持っていたが、現在は需給調整できない。
対策:
施設入所については一律1割ではなく2〜3割とし、所得い応じた傾斜配分の自己負担とする。加えて虐待の有無や一人暮らし、現在の在宅サービスの利用量など優先入所要件を加味し、地域ケア会議など行政も交えた公的な検討会の場で入所希望者を名寄せ(個人名は出さない)したうえで入所順位の重み付けを行う。入所希望者名簿は保険者が一括管理する。
2.要介護認定
認定にかかる労力や経費は膨大。限度額設定があっても限度額のうちで利用しているのは平均すれば4割程度の額。しかし、ごく一部の一人暮らしの障害高齢者や重度の痴呆の人は要介護5の限度額でも不足している。
対策:
事務費等を軽減するため、在宅の報酬支払い区分を撤廃し上限はケアマネジャーと利用者とで考えればよい。
このように限度額を改善することで本来必要な人が必要に応じて使いやすくなる。区分がなくなれば経費が浮く。これを居宅介護支援など在宅福祉サービスに回せる。もし審査が必要ならケアプランを審査すべきだ。
3.訪問介護報酬の改善
a.
利用料の減免従来非課税世帯が利用料無料であったものが費用負担が生じるようになった。これは、サービス利用制限の方向に働く。措置時代に利用料無料で利用していた人の利用料を3年間に限り3%に軽減する経過措置や社会福祉法人による低所得者利用料減免制度はあるが、それで従来の利用者すべてが従来どおり無料で利用できるわけではない。本来サービスを利用することで在宅生活で自立していた人たちが、安易に施設入所に結びついてしまうことにもつながる。
対策:
低所得者については利用料の減免を継続する必要がある。
b.
訪問介護報酬の見直し以前に比べより効率的なサービス供給が求められることから、ヘルパーの勤務意識に変化が生じている。特に、サービス提供時間を気にするあまり、訪問に余裕がなくなっている。さらに、移動時間を少なくさせることによって効率が上がることからより早く移動しようと焦る気持ちを一層かき立てることにつながる。この結果、従来はできていた隣近所や民生委員との連携や、不安やストレスの軽減に効果のある、ゆっくり時間をかけて傾聴すること、利用者ニーズに応じた買い物(指定の商店で指定の商品を購入する)などは困難になってきている。
対策:
ヘルパーのある程度のゆとりを確保するために報酬単価を改善すべき。
ただし、今回の案では、介護型の報酬を下げ、家事型を新たに生活支援型として報酬を上げ、複合型を廃止する方向で検討が進められている。都市部ではヘルパーによる介護が未定着のため家事型が多く、今回の案では潤うことにつながるが、地方都市では介護型が多く、収入減となる。地方都市では現在でも厳しい状況にある事業者が、より撤退を余儀なくされる懸念がある。大都市を中心に全国展開している業者のみが残れる報酬体系への変更は極めて危険だ。今後大都市でも介護型のニーズの増加が予想される中、今回の案がとおれば、ゆくゆくは大都市圏でも収入減となることが見込まれる。
c.
移動時間の報酬への反映短時間提供の場合は既に移動コストが考慮されているため、移動時間分が実サービス時間から割り引かれるべきではないことから、移動時間が長い地域では効率的なサービス供給は事実上不可能。
対策:
ヘルパーのある程度のゆとりを確保するために報酬単価を改善すべき。
d.
身分保障の充実現在の単価で事業を成立させるには主体をパート雇用に頼らざるを得ず、責任ある業務としての定収保証が困難。
対策:
ヘルパーのある程度のゆとりを確保するために報酬単価を改善すべき。
e.
利用者意識の啓発時間が余っているならついでに契約外の業務もするよう求められるなど、利用者の権利意識に変化が生じてきている。利用者、ケアマネジャーとの合意のもと、リハビリテーションを目的として、あえてご自身で行っていただくことを計画してあっても費用負担を理由にサービス提供を求められることもある。
対策:
社会全体に対して十分な利用者意識の啓発が必要。
f.
区分が複雑すぎる家事型、身体介護型、複合型と3種類の区分に加え、1.5時間以降の業務内容で区分が変わる身体家事、複合家事、複合介護の区分があり、さらに訪問時間帯ごとに昼間、夜朝、深夜の3区分、3級ヘルパーの減額有無と2人訪問の有無を加えると実に72種類もの区分となる。
ここで問題なのは、複合型の位置づけである。家事と介護の時間がほぼ同時間の場合複合型となるが、1.5時間の介護と1.5時間の家事合計3時間提供の場合は複合型でも身体家事でも適用でき、複合型3時間では856単位、身体家事3時間では833単位となり、複合型が高いが、複合型2時間と家事1時間では720単位、介護1時間と家事2時間の場合は734単位と複合型が安くなる。この結果、全体として利用料が安くなる方向に動く。もともと低い単価が一層低くなり、事業所としては厳しい状況に追いやられることになる。これはより一層効率的な運営(=末端ヘルパーへのしわ寄せ)を求めていくことにつながる。全体として利用料が安くなる方向に動く。従来は身体介護と家事援助の2区分であったため、こうした混乱は起こらなかった。
対策:
複雑怪奇な複合型を撤廃すべき。→これは撤廃の方向。
4.居宅介護支援
ケアマネジャーの家庭は崩壊の危機にさらされている。
背景:
報酬が安く、業務量が膨大。事業主も営業窓口という理解をしながらも、赤字部門で力を入れたがらない。
対策:
報酬の改善と居宅介護支援事業所組合設立支援
居宅介護支援は中立公平である必要があるが、現状はそうではない。事業所の意向が大きく働き利用者の選択の幅を狭めている。法人が少しずつ負担し合って事業者組合を設立してはどうだろうか。また、行政はそれを支援してはどうか。
6.住宅改修・特定福祉用具給付
この2種は原則として償還払いとなっている。しかし、低所得の高齢者にとっては負担が高い。特に住宅改修は手すり1本15万円や、介護保険で改修できると誘いかけて他の箇所の工事も行って高額な費用を請求する例などもある。
対策:
いずれも先にケアマネジャー等がケアプランなど必要な理由等の書類を作成することで現物給付化できないか。ケアプランがない場合は償還払いとすれば適切な改修や用具の給付につながる。悪徳業者を駆逐する効果もある。