鞍結節部髄膜腫を経蝶形骨洞法で!!





鞍結節部髄膜腫が見つかった方からメールを戴きました。

その方は、手術を受けるにあたって、書物やネットで手術法を調べ、また幾つかの病院にも足を運び、医師ともお話をされました。

その結果、日本では、まだほとんど行われていない経蝶形骨洞法による鞍結節部髄膜腫の手術を受けられました。病院は近畿大学の脳神経外科です。



術後1ヶ月の現在は、温泉やプールに暫くの間、入らないようにと言われているぐらいで、手術前と全く変わりのない生活を送っていらっしゃいます。術後すぐは、重い風邪を引いたような感じがしたそうですが、4日目には屋外に散歩をされています。


この方の積極性や行動力には目を見張るものがあります。
多くの医師が経蝶形骨洞法に反対する中で、自分で決めて手術を受けられた姿には、患者として、一人の人間として、すがすがしさを覚えます。


私も脳下垂体腺腫の手術法にハーディ法があるのは、以前から知っていました。副鼻腔炎の手術のように上唇の内側を切開して、そこから手術をする方法です。


脳下垂体の近くにある鞍結節部髄膜腫もハーディ法で、できないのだろうかと思っていました。ハーディ法で手術を受けた患者は、頭蓋骨に凹みがなく、外見が美しいのです。当時、主治医に尋ねましたが、腫瘍のそばを重要な神経や血管が通っているから危険だと言われました。


この方は上唇の内側を3センチ程、切開されています。手術時間は約6時間で術後視力障害も改善されたそうです。もちろん合併症もなく、退院されています。


非常に高い技術が要求されるので、鞍結節部髄膜腫に、この手術法を取り入れているのは、僅かな先生しかいらっしゃいません。


しかし、脳下垂体の手術が進歩しているように、鞍結節部髄膜腫の手術も同じ道を歩むだろうと思われます。もちろん。腫瘍の場所や大きさ、周囲の構造物との関係で、すべての鞍結節部髄膜腫に適用とはならないでしょうが、10年後には、この手術が普及し、標準になっているとしたら、患者はありがたいですね。