脳疾患治療「実力病院」
           
1月7日付 日経・日経メディカル調査より





脳疾患治療における実力病院、全国調査結果について。

患者への情報開示やチーム医療などの医療の質を高める取り組みを「過程」部門で評価している。(総回答数は426施設)


クリティカルパス(入院から退院までに必要な治療や検査、リハビリテーションなどを日付を追って一覧できる診療計画表)がある病院
356施設、あると答えたほとんどの病院で患者に手渡されている。


手術やカテーテル治療をビデオで記録している病院
360施設、そのうち患者に映像を渡しているのは227施設。


なんらかの治療実績を公表している病院
315施設。

症例数を公表している病院
300施設。

死亡率を公表している病院
130施設。

後遺症や副作用など合併症の発生率を公表している病院
111施設。

各病院の治療成績を学会などが示す全国平均と比較して明らかにしている病院
91施設。

セカンドオピニオンを病院全体として積極的に受け入れると回答した病院
276施設。

別の医師の意見を聞きたいという患者に積極的に対応すると回答した病院
252施設。

入院中の患者が、医師の説明で分からなかったことや聞きにくかったことを調べられるように、患者が利用できる図書室を設置している病院
129施設。

手術の様子を控え室の家族に中継する病院、リハビリテーションへの意欲を高めるために心理療法士を置いている病院もある。



治療成績の公表は3割の病院に止まっているが、きめ細かな情報開示や丁寧な説明を行う病院が増えている。
図書室を備えた病院では、患者は自分の病気について詳しい知識も得られる。また、今年度から、診療報酬の関係から、セカンドオピニオンが受けやすくなるそうだ。

治療を医師に任せっきりではなく、患者も勉強して、選択する力を持たなければならない。「自分の体は、自分で責任を持つ」という方向に進んでいる。そんな中で患者が最初に出会う問題が、どの病院で治療を受けたら、よいかだ。

「過程」部門の上位には、治療成績でも評価の高かった病院が名を連ねているそうだ。
死亡率や合併症率などの情報開示を行い、治療法などの分かりやすい説明をしている病院ほど、治療成績もよいらしい。


ちなみに「過程」部門で5位までの病院を挙げると

1位 大田記念病院 (広島)
2位 虎の門病院  (東京)
3位 関西労災病院 (兵庫)
4位 熊本大病院  (熊本)
5位 東海大病院  (神奈川)

だった。




未破裂脳動脈瘤治療成績編「実力病院」
     
1月14日付 日経・日経メディカル調査より



2003年から2005年まで、30例以上の未破裂動脈瘤の治療をした病院の調査結果を見ると、治療法にはクリッピング術と血管内治療の2種類があるが、全体的にクリッピング術を行っている病院の方が多い。血管内治療は手術と比べると日が浅いからかもしれない。

NTT東日本関東病院は、3年間で「手術」116例・「内視鏡」0例である。
「手術」しにくい部分の脳動脈瘤は慈恵医大病院に紹介しているそうだ。慈恵医大病院では、3年間で「手術」7例・「内視鏡」131例だ。
二つの治療を柔軟に選んで治療をしている病院もあれば、上記の病院のように他と連携して一つの治療法に特化している病院もある。

病院が得意とする治療法を知っておくことも必要である。




脳腫瘍治療成績編「実力病院」
       
1月28日付 日経・日経メディカル調査より



2000年から2002年まで、脳腫瘍を50例以上治療した187病院の調査結果によると、グリオーマの治療では熊本大病院と川崎医大病院が3年生存率92%でトップである。
熊本大のグリオーマの患者数は、3年間144人と全国1位である。

熊本大では他科との合同会議を開いて治療方針を決定し、さまざまな検査・手術支援機器を使用し、最新の医療技術を駆使することで高い摘出率を実現しているそうだ。
髄膜腫・下垂体線腫・神経鞘腫の3年生存率は多くの病院で100%となっている。良性脳腫瘍は合併症率が気になるところだ。


2000年から2002年までの3年間の脳腫瘍の合計患者数が200人を超える病院を挙げると

山形大病院(270人)
自治医大病院(261人)
東京女子医大病院(472人)
慈恵医大病院(213人)
藤田保健衛生大病院(361人)
北野病院(373人)
富永病院(250人)
熊本大病院(491人)
であった。

患者としては、脳腫瘍といっても腫瘍の性格がそれぞれ違うので、治療法や特にどの腫瘍に力を入れているかなど公表されるとありがたい。