VOL.361
 村へ恩返しを 地域活性に夢描く

 名張市 谷川正行さん
▲生きたカブトムシに直に触れる場作りの準備をする辻本さん
 名張市竜口の谷川正行さん(60)は「“なごみの里・忍者の里・伊賀竜口”の地の利を生かした事業をいかにすべきか思考錯誤の真っ最中」と、地域活性化への夢を描く。
 谷川さんは近鉄で42年間、駅業務を中心に勤務、昨年7月定年退職を迎えた。その2年前に体調を崩し入退院を繰り返したが、その病床で「今後は村への恩返しを」と考え、昨年春に区長を引き受けた。
 竜口区は人口71人、うち60歳以上が31人という少子高齢化の進む地域。高齢者にやさしく快適な村づくりを推進するため、昨年秋に県環境県民会議の補助事業として「いきいきシニア触れ合い花壇を育てる会」を結成し、区内の市道沿い3か所に花壇を設置した。
 その成果が実り、春の花が色鮮やかに咲き誇り、それまで家にこもりがちだった地域の高齢者たちの交流の場として親しまれるようになった。
 また、国の「中山間地域等直接支払制度」の助成対象になっていることから、今後は各家庭でシイタケ、ナメコ、シメジなどを栽培して「キノコの里づくり」計画の夢も膨らむ。しかし、それを実現するためには村の農作物に被害を及ぼすサル防止策が不可欠なため、市農林振興室の指導を受け、県環境保全事業団の「人間と野生動物の共生のための調査事業」業務に携わり、サル追跡調査員に登録するなど、サルの習性についての知識習得にも励む。

伊賀焼に挑戦
 一住民としては米作を中心としたアイガモ米と無農薬有機農業や休耕田の保全管理で従来の里山の復元にも力を注ぐ。さらに、同年代の仲間4人で伊賀竜口窯を立ち上げ伊賀焼きにも挑戦中だ。
 谷川さんは「魅力ある地域づくりに微力ながら貢献出来ればうれしい。まあ、前向きにボチボチ前進できるよう頑張りたい。伊賀竜口のホームページも区民の方に立ち上げてもらっているので、ぜひのぞいて下さい」と笑顔を見せた。
平成15年5月12日 新聞「YOU」の記事より