剪定した枝のしいたけ
 2年前に剪定した枝に、しいたけ菌を打ち込んでおいたのが、ようやく出始めた。農村が自給自足の生活の頃、炭焼きの片手間にほだぎを作って、谷筋に並べていた。
 ところがしいたけが出る頃、山奥まで採りに行かされるのが嫌だった。第一ちょうど良いのがうまく生えているか分からない。もって帰らないと実際見に行ったのか疑われる。
 もちろんたくさん出ていて、糸を通して干ししいたけにするほど取れればいいのだが、まったく出ていないときもある。むしろ出ていないときのほうが多い。
 どうして家のそばにもって帰って、適当な時に取るだけの知恵がなかったのか、今思うと不思議だ。
 菌を植えるときはうまく採れるか不安だったが、半分くらいに生えてきた。雑菌にのっとられて、別なものが出てきたのもある。ほだぎも不ぞろいで、切り落としてから数ヶ月たって植えたものもある。これも自給のためのリサイクルだと思えば、満足できる。昔の農家なら、自給していたことだし、炭に焼かないでも、里山の資源として薪になっていたのだ。