ポポーの豊作
 2008年は、ポポーが豊作だった。ポポーは子供の頃から知っていたが、敗戦後の食糧難の頃は、栄養価がないとかで、あまりかえりみられなかった。イメージのせいか、乳の出がよくなるといわれていた。
 ところが最近の種苗会社のパンフレットには、「栄養たっぷりの人気果樹・とろける美味しさ」など、とても良さそうに宣伝されている。私も長く作っているが、こんな宣伝を見ると、注目するようになった。
 ねっとりとしたクリーム状で、パパイヤのような味と芳醇な香りがある。初めての人は珍しがって食べるが、それほど沢山欲しいものでもない。
 皮が薄く、すぐ崩れるので流通はしない。食べるのには自分で作らなければならない。今年はそれがとても沢山稔った
 ポポーの木は、材としては青みを帯びた柔らかい木質なので、あまり利用価値はないが、ほっておいても三角形のきれいな樹形になる。それで牧場を持つ豊かな階層は、点景としてこの木を植えると聞いたことがある。
 面白いのは花で、釣鐘型の花弁の中に、アケビのように小さな実の形をした雌しべがついている。今年はそれが沢山着いて、だんだん大きくなってゆく過程が見られた。
 他の果樹でも同じだろうが、台風などには持ちこたえられそうにない。害虫を見たことがないほど、放任で育っている。これで宣伝されるほど貴重な果樹だと、一儲けできそうだが、需要家に届ける方法に工夫が必要だろう。