気がついたら池の後ろからカボチャが生えていた.別に蒔いたり植えたりしたのではないが、キャラの苗木を植え付けたときに、肥料として施したうちの、コンポストの中に種があったのだろう。
 その移植したキャラは枯れるようだが、カボチャは勢いよく蔓を伸ばして花をつけた。池の水面の直射光線を防ぐのに役に立つと思って様子を見ていたら、どんどん子蔓孫蔓を伸ばし、いくつか雌の花もつけた。
 どうなるのかそのままほっておいたら、うどん粉病が折からの不順な天候の中でまん延した。4個くらい着けていた実も小さい順に自分で切り落としてゆき、握りこぶしくらいに育っていた実も成長をやめて1個だけが残った。
 根元のほうから葉も枯れてきたが、この実だけはそれなりの大きさになって充実してきた。
 スイカもそうだが、その植物の体力に応じて、充実した子孫を残すように実をつける。摘果するのは、その選んだ実を充実させることよりも、収穫時を調整し、一斉に更新するためで、植物にとって余計なお節介ではないのだろうか。
 柿や栗も今生理落果で自分が実らせられる程度に、実の数を調整している。本来野生のものは自分で気候や体力に合わせて子孫を調整したのだろう。
 逆に人工的に種を育成して美味しいものを収穫しようとすると、農薬から肥培管理、摘果や剪定や受粉やことごとく施設の中で過保護に育てないと実が取れない。
     
 自給畑なので、急ぐことも出荷に気を使うこともない。勝手に生えたのだから、食べられれば儲けものくらいに思ってほっておいた。
 蔓もほとんど枯れたので、見苦しい。収穫して蔓も片付けた。案外充実したずっしりと重い実である。このタイプのかぼちゃは毎年あちこちから生えてきて実をつけるのだが、やはり栽培するほかの品種と交雑しているのだろうか。
 カボチャなど昔は種を買ったことはなかったのだが、目新しいものを作ってみたかったり、種苗店でつい苗を買ってくる。
 今のように遺伝子のレベルで操作するようになってくると、市場に出荷するのなら、由緒ある品種でなければ受入れられなくなるのではなかろうか。
 血統書のない勝手生えのカボチャでも、自耕園では大威張りで勝手に実をつけて子孫を残している。