黄花もくれんの花
 なんとなくここだけ見るとこれから開いてもくれんのように垂れ下がるように見える。しかしこのあと見えている部分は散ってしまって、雌髄だけが残り、つくしの頭のような部分が、膨らんでゆく。木の全体の姿の中では目立たず、上の写真のように葉に隠れてしまう。
ネーミングの狡さ
黄花もくれん

 この木はもう10年以上前に、「黄花もくれん」ということでカタログから注文した。黄色の花が確かに開きかかっているもくれんのような形をしていた。
 普通もくれんは赤紫の大きな花弁だし、こぶしは白である。黄色となると珍しい。よく見える入り口の近くに植えて、黄色の豪華な花弁の反り返った花を楽しみに育ててきた。
 ところが花らしきものがついても、すでに葉が育ってきているし、黄色っぽい見栄えのしないほうに包まれているだけで、すぐ落ちてしまう。
 眺めた人は、名前を聞いてもピンと来ないような顔をして、関心も寄せてくれない。そのうち切り倒すつもりだが、あったしるしとして写真を撮った。
 どうもほおの木の仲間らしい。魅力的な名前で購入しても、植物の場合は、苦情を持ち込みにくい。時間がたちすぎている。
 昔は外国の魚になんとか鯛という名前をつけたり、赤貝の缶詰がアフリカの別な貝の種類だったりして、問題になった。消費者保護が進み、表示に正確さを求められ、だいぶ向上してきたと思う。
 カタログなどで種苗を買う場合は、まだいい加減なところがある。ずい分昔「タンパラ」という名の緑餌に最適という作物を播種してみたら、畑の雑草でその後絶やすのに困った。「シルキーベリー」ということで、新しいベリー類と思って植えたのは、どうもオリーブの仲間らしい。なるほど葉は銀色をしている。
 しかし作物としてのネーミングは、異議を申し立てるにはこちらにも相当な知識と根拠が必要である。