見直した干し柿の美味しさ
 昔は旧暦で正月をした。そのとき「年取り柿」といって、お膳につるしがきが供された。数え年では、正月に必ず年を取ることになっていた。
 鏡餅に飾られる串柿とは違って、この年取り柿は、吟味して家族用に特別に作られた。子供の頃は、稲刈りが終わった頃毎晩干し柿つくりだった。ほとんどは丸い小ぶりな柿で串に刺した。
 つるしがきは大きな砲弾型をした柿で、串柿を作る柿のように、木をゆすって落としたりしない。丁寧に一個づつ木から採り、柿の枝を残して、それを縄に結んで吊るす。串柿はヘタを切るので、柿の実だけをとればいいのだ。
 つるしがきは大きいだけに、寒さや乾燥などの気象のタイミングが難しい。早いとカビが来る。ちょうど旧正月の頃、ぽってりと白い粉が着いて、市販されているどのお菓子よりも、深い甘さが出てくる。
 やはり柿の種類も大事なようだ。