2010年

1月

 

ながいよー、の三日間

 

 

 

 

 

昨年末はいつも通り大晦日まで仕事。

元日が店休で、二日からはまた仕事だった。

・・・などと書くと、ものすごく働いている感じだが

実は遊んでいるんだよ♪、という話を。

仕事の合間に新年会あり、句会有りと

バタバタバタバタしていた一月、

第四週はことにバタついた。

 

 

 

>゜))))彡

 

 

 

23日(土曜日)

 

 

 

 

 

以前から申し込んであった

『三重県全国俳句募集第15回記念事業シンポジウム』に参加した。

毎年三重県が募集している「○の一句」が15回になり、

記念事業として選者の有馬朗人氏、宇多喜代子氏、中原道夫氏

星野椿氏、宮田正和氏をパネリスト、八木健氏をコーディネーターとした

シンポジウム、定員500名のイベントだった。

残念ながら中原氏はご欠席だったが、

八木氏と四氏のおしゃべり、今年の「国の一句」の講評や

質疑応答、プレゼント抽選も有り、半日楽しんだ。

 

 

 

 

 

 

会場へは近鉄の宇治山田駅からは少々距離があるので

臨時バスが出る。その出発の時刻より小一時間早く着き、

駅近くの神社を散歩したり、昼食代わりに天むすを食べたり。

天むすは、道路の反対側にあったのぼりの文字にひかれて

店に飛び込み注文をした。あたたかいお手拭をつかい、

お茶をいただいていると天ぷらを揚げる音がして、

ふわっと握った三角おにぎりの天むすが

つぼ漬付きで出てきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

大楠の上の青空寒土用

 

猫に問ふ賽銭のこと冬うらら

 

海苔炙る音粕汁の鍋の湯気

 

 

 

  

 

 

 

会場ではいつもの如く最前列に座ってお話を聴き、

質疑応答はちょっと遠慮してはみたものの、

誰も挙手しないのをいいことに

「はいっ!」と元気に手を挙げて、ちょっと質問したり、

最後のプレゼントにもなんとなくひっかかったり。

(「遊の一句」の作品集をいただいた。)

肝心の今回の「国の一句」だが、・・・出していなかった。

(締め切りを忘れていた)

そういえば、去年はいろいろと締め切りを忘れたなぁ。

あかんなぁ、かのんさん。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

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24日(日曜日)

 

 

 

 

 

翌日は定例の超結社の吟行句会(こてこて吟行句会)で、

若草山の山焼を見ようかという話だったが

日程の都合でその翌日になった。

(当日では行けなかったかもしれないのでわたしには幸運。)

吟行の予定にはならまち散策となっていたので、少し早く出て

一人で飛火野まで行ってみた。

 

天気予報は暖かくなると言っていたが伊賀と同じ盆地の

奈良の朝は寒い。ことに青空だったので放射冷却の

せいか歩いても歩いても寒かった。

 

若草山の山焼の起源は諸説あるらしいが、

「山焼きをしないと山上の塚の妖が暴れ出るため、禁じても誰かが火を放っていた」

という説がなんだか好きだ。

山焼翌日の山は思ったほどには黒く無く、ふもとでは鹿が

いつもの顔で座っていた。

一時間後には集合ということもあり、ほどほどで引き返した。

東大寺は今日は屋根だけ見て駅へ。

 

 

平城京旧跡脇の大根畑

 

 

人めきし奈良の寒鴉のくさめかな

 

底冷えの若草山といふところ

 

末黒野に触れたき指を手袋に

 

着膨れの眼の奥の火種かな

 

一月の大路横切るしかめ面

 

鹿に追はれ人力車夫に追はれ雪

 

三寒の大仏殿の金の鴟尾

 

凍月や座りとほしの盧遮那仏

 

 

 

 

 

 

  

 

 

近鉄奈良駅の観光案内所の前で集合。

あちこちにせんとくんやまんとくん、時折なーむくんもがんばっている

奈良の町をうろうろキョロキョロと。

 

 

 

 

 

 

ならまちはいつ来てもゆっくり歩きたい町で、

あそこもここも覗きたいわたしには楽しすぎる。

奈良町資料館(写真の赤くてぶら下がっているものは身代わり申。庚申さんのお守り。)

ならまち格子の家(奈良の町屋を保存)、重要文化財の今西家書院もいいが

今も生きている風呂屋の煙突や路地の花、もれ来る笛の音も嬉しい。

途中寄った飴屋さんでは狂言の「附子(ぶす)」に出てきそうな

飴を試食し、和三盆糖を舐め、楽しげな店あらば首を(もとえ体ごと)

突っ込み、よさそうな穴や隙間があれば立ち止まったり。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

酒蔵の利き酒はぐぐっと我慢して昼食をいただくべく句会場方面へ。

今回は店を決めていなかったので時間に拘束が無く

キョロキョロのんびりのんびり歩いた。

 

 

 

砂糖傳増尾商店春隣

 

飴くるくると一月の棒の先

 

笹鳴や寧楽の町屋の箱階段

 

中の間のしづかな時計黄水仙

 

冬青空煙突ひとつまたひとつ

 

篠笛の洩れ来る土塀春近し

 

書院大屋根一月の陽のまろび

 

四温晴破れ築地に猫のかほ

 

ならまちのたれかの庭の梅ふふむ

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

冬木の芽猫の欠伸の大破顔

 

待春の鹿たひらかにやすみをり

 

 

 

あちこち春の気配がちらほら。

花芽がふくらんでいる木、もう咲きそうな勢いの梅など、

まさに春隣。

 

昼食をこの一月にオープンしたという『釜粋』にていただき、

句会場へ。(奈良県文化会館 和室利用)

 

うつかり句会用具一式を持っていかなかったので清記用紙も

選句用紙も無く、短冊は持ってきてくださった方があり、

清記はルーズリーフ三枚に併記、人数分コピーをとり

それに選句をし、各自披講した。

この句会はインターネット系超結社だが、今回まったく

初めてという人はおらず、会は終始和気あいあい。

欠席投句がおそろしく多いのも特徴で、しかもその欠席者が皆

「見てきたような句」を投句してくるので、

出席者はコロッと被弾する。

(出席者は欠席投句を『地雷』とか『魚雷』と呼んでいるので。)

そして時には全員玉砕ということも。

さて今回はわたしはまったくの無点で、それでも前回が

運が良かったのでその折の賞品をいただくという幸運があり、

名誉顧問(だった?)のハンドルネーム

ラスカル氏の直筆色紙をいただいたり、やはり

手ぶらでは帰らないのだった。

 

 

吟行も句会もさくさく終わったので二次会を

とんでもなく早い時刻から始めることになった。

これも何の予約もしていなかったので行き当たりばったりに探した

ベトナム料理の『コムゴン』はランチタイムが終わったところで

ディナータイムまでの一時間をお店の好意で居座らせていただいた。

ここでも短冊をまわしていつもの句会。

食べるものも美味しかったし、(やはりひでこに今度つれて行ってといわれた)

吟行も句会も楽しい。いつもの句友が揃えば尚のこと。

 

 

 

 

 

いつも同じことしかいえないが、美味しくて楽しうござりました。

またね、せんと君。

 

 

 

 

 

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25日(月曜日)

 

 

 

 

月曜日は仕事だった。

しかも新しく入るレジの使い方の研修の日。

前もって、この日に休みが欲しいとは店長に相談してあり、

店長には「いいよ」と言ってもらっていたが、

研修が入ったため休むわけにはいかなくなった。

でも行きたい・・・・研修が終わったら早退してもいい?

と、強引に店長にうなづいてもらい、研修終了とともに

通勤時の姿のまま飛び出してた。

 

 

待春のすぐにほどける靴の紐

 

 

 

 

 

行ったところは大阪は道明寺天満宮。

一月二十五日は初天神で、『うそかえ祭』の日だ。

(行ったことが無いのでぜひ行ってみたかった。)

名張市から近鉄を乗り換え乗り換え、十四時半に道明寺駅に到着。

そのまま天満宮まで五分ほどの道を歩いた。

うそかえ祭十五時の部(十一時から一度目があった)は

すでに梅林まで列がのびており、その最後尾につく。

紅梅も白梅も蕾がふくらみ、白梅はほろほろと開いているものも。

祭のはじまりを告げる放送があり、

そろそろうごく行列の先には見事に咲いた臘梅があった。

 

 

 

三寒の洋品店のジャンプ傘

 

磴のぼる老若男女梅早し

 

すぐ燃えさうな臘梅の一樹かな

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

臘梅の木の先で二列に分けられた参加者には、

ひとつずつ木彫りの鷽鳥(うそどり)の入った紙の小袋が

手渡され、その先ではすでに祭が始まっていた。

 

 

 

 

 

両手を挙げて「かえましょう」と言い合いながら鷽の袋を交換する。

袋を頂いたわたしも早速隣にいらした方と「かえましょう」

終了の太鼓が鳴るまで何度も何度も何度も交換する。

全く知らない人と笑いあいながら「かえましょう」

あら、さっきも替えましたね、ま、いいか「かえましょう」

小さな人とも「かえましょう」「かえましょう」

 

「かえましょう」「かえましょう」

 

 

「かえましょう」「かえましょう」「かえましょう」

「かえましょう」「かえましょう」

 

 

 

どどんっと太鼓が鳴ったら交換終了。

そのとき手元にあった袋から鷽を出してそっとひっくりかえして、

お尻(底)に何も書かれて無かったら、

その小さな鷽がこの一年のお守りになる。

もしも「金」とか「銀」とか「木」と書かれていたら、

それぞれ「金の鷽」「銀の鷽」「木の鷽(大)」と替えていただけるらしい。

わたしの鷽はわたしのところに居たかったようなので、

大切に鞄に入れた。

 

 

 

 

 

初天神買うてんかほなまけてんか

 

雪暗や愚図愚図計る甘納豆

 

梅早し天満宮の牛のまへ

 

草色の鷽の背中や雪しぐれ

 

 

 

帰路、乗り換えの駅でもう一度鷽を袋から出した。

 

「あそんでばっかりやねぇ、わたし。」

 

とつぶやけば、手の中の鷽が

 

「まっ、それもええんちゃうか。」

 

とこちらを見た・・・ような気がするので、

今年は(も?)遊ぶぞ。

 

ごめんね、店長、店のみんな、我が家のみんな。

今年もよろしく。

 

 

 

 

 

 

写真/文/句:坂石佳音

2010.1.31

 

 

 

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