2007年 お花見吟行

 

チンチン電車に乗って

 

 

 

 

200.4.7()

 

 

 

 

名を呼ばれふり向く小犬朝桜

 

 

 

「かあさん、何考え込んでるの?」

「ああ、ひでこ、キョロキョロ日記を書こうと思ったんだけど、

あまりにも前のことで・・・・どうしようか。」

「ソンナムカシノコトハワスレタヨっていうといいよ。」

「・・・それ、どこで覚えたのよ?」

 

 

 

>゜))))彡

 

 

 

 

昨年の糸瓜句会のお花見は仕事の都合で行けなかった。

今年は早くから「休む」と言ってあったので、

仕事はお休みできて、きっちり参加。

お弁当やいろいろは途中で調達してもいいかと、

Wさま、Mさまと連絡を取り合った。

だって、今回の集合地は天王寺。

天王寺には近鉄百貨店がある。

 

 

 

 

 

 

女三人で百貨店の中をうろうろしていたら、

よく知っている顔があちこちから。

皆考えることは同じということ。

 

 

 

近鉄デパート花人のそこかしこ

 

包む間もお天気のこと花のこと

 

春の足音てんのじのアスファルト

 

料峭や切符をしまふ右ポッケ

 

 

 

 

お弁当プラスアルファを調達して、いざチンチン電車の乗り場へ。

いざというほどのことも無く、すぐ横にある阪堺電車天王寺駅前駅に到着、

600円で乗り降り自由のフリー切符を購入した。

ほろほろと参加者全員が集まり、やってきた路面電車に乗車。

 

 

のどけしや路面電車の色いろいろ

 

 

 

下の写真のこれはなんだか見たことのあるような顔に見える。

雨具必携の今日、ぽつぽつと降ったりやんだりの今日、

「雨ですゴメンナサイ」とチンチン電車に謝られている気分。

いいよ、雨は好きだから。

ましてや今日は花の雨。

 

 

 

 

 

春霖や路面電車のひらめ顔

 

 

 

 

 

 

阪堺線は二系統、天王寺駅前始発・住吉公園駅終点の上町線と

恵美須町駅始発・浜寺駅前駅終点の阪堺線で、途中住吉駅で交差する。

天王寺駅前から乗車した我々は住吉で降りて、住吉大社に寄り道することに。

チンチン電車は路面電車。道路の真ん中を走る。

前方にごみ収集の車が曲がって行ったり、

停車中に自転車に追い越されたり。

 

 

 

  

 

 

 

青信号ふたつ見送る春意かな

 

春の雨上町線を降りてより

 

 

 

 

 

 

 

 

花冷や卯の日ゆかりの手水鉢

 

 

 

住吉大社の手水鉢は龍ではなく、うさぎが座っていた。

これは、住吉さんが卯の年卯の月卯の日に創建されたからとか。

 

嬉しいことに、お宮参りと結婚式に出会うことができた。

 

 

 

 

 

 

 

百千鳥ひたいに紅き小の文字

 

 

 

 

 

 

 

 

 

海市の如く緋の傘の通り過ぐ

 

春駒や杜の雨踏む婚の列

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

住吉大社を後にし、住吉公園まで徒歩。

桜も満開、たくさんの花見客がお弁当を広げている中で我々もまずは昼食。

まずは「昼食」の段階でなんだか出来上がりそうな幾人か。

実際の花見の宴(句会)は浜寺公園で開く予定なのだが、まっいいか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おなかもいっぱいになったということで、もう一度チンチン電車に乗るべく

住吉鳥居前駅へ。この駅は阪堺線なので、終点は浜寺駅。

道路の真ん中でひとりずつ順番に乗っている幅広の

平均台のようなのが駅本体。

 

 

 

 

 

 

 

三尺のプラットホーム遠桜

 

 

 

 

 

 

花ほろほろ阪堺住吉鳥居前

 

 

 

 

 

 

 

 

街を抜け、郊外に出ると、軌道は普通の線路に。

でも両脇は路地から煮炊きの匂いがしてきそうな町。

 

 

 

 

 

 

大和川越えいよいよの花の旅

 

飛花落下くの字のパンタグラフにも

 

 

 

 

 

 

 

 

最終目的地は終点の浜寺駅だが、八つ前の花田口駅にて下車。

ザビエル公園、与謝野晶子生誕の地、千利休屋敷後等を徒歩で巡る。

 

 

 

 

 

千利休屋敷跡

 

椿井の御屋根しづかに春の雨

 

 

 

 

住吉大社あたりでは小降りだった雨が徐々に本降りめいて

雨好きのわたしは嬉しいが、この後花の下で句会

・・・となるとどうだろうか。

浜寺駅は小雨が降ったり止んだり。

このあたりを良く知る人の導きで酒屋にて色々購入。

浜寺公園は茣蓙を敷いてお弁当の人、バーベキューを

はじめている人、それぞれの花見の座。

 

我々もできるだけ雨のかからないところを選んで肴を並べたり

幾度目かの乾杯だったり。

歳時記や句帳をひろげる人もあり、

そう、これは吟行でした。

 

 

 

 

 

 

 

まだ己が名も言へぬ児に花の雨

 

紙とペン円座春意のしじまかな

 

車座のほころびに坐す花の鬼

 

 

 

 

しかし、降ったり止んだり降ったり降ったり落ち着かない。

あまりの雨の気配に句会前ではあるが幹事某氏が撤収を宣言。

駅へ急げ!!

さて、駅に着いたとたんに・・・

 

 

浜寺の大粒すぎる花の雨

 

春驟雨叩く三時の駅舎かな

 

 

 

 

 

 

 

 

雨の中、句会のできる場所を探すために天王寺へ逆戻りのチンチン電車は

『ロッキー電車』写真のように吊革がボクシングのグローブで飾られ、

吊広告はロッキー一色。

ロッキー電車は車両がかなり古いタイプのもののようで、

下車のベルの押しボタンや内装(ペンキのあと)もレトロ。

楽しいものに乗り合わせたと一同大喜び。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

遠足子なに眺めても笑ひをり

 

大笑ひ余寒の駅に降りてなほ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天王寺に帰りついた一同、以前動物園吟行の折に利用した居酒屋にて

こっそり(?)句会。

ただし、幾度かの乾杯の余波で・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

酔漢のひいふうみいよ春暮るる

 

 

 

まあ、それもよし。

だって、お花見、年に一度の花の宴だから。

チンチン電車はおもしろかった、雨もまたよし。

句会も楽しかった。

そして一番のステキは、

 

 

 

阪堺電車路地ごとの桜かな

 

 

 

はい、その通り。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー、楽しかったよ、思い出した思い出した。思い出したといえば、」

 

 

 

>゚)))彡

 

 

 

阪堺電車のフリー切符は開くとこんな風になっていて、

該当する年月日を銀はがしの要領で開く。

「夜中まで今日だ」

といっていた人たちはあのあとどうしたのだろうか。

 

 

 

まっ、楽しければいいか。

 

 

そして、この写真を撮ったあと・・・・

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

「ひでこ?ん?あー、なにやってんの、それどうするの?!」

 

「やほー♪ぜんぶはがせたー♪♪もういらないでしょ?

          アシタハアシタノカゼガフクだよー♪」

 

「まあ、もう、いらないけれどね。ホンマニモウ・・・」

 

 

というわけで、ひでこのおもちゃになりましたとさ。

 

 

かのんのキョロキョロ日記でした。

 

 

 

>゜))))彡

 

 

 

 

2007.5.11

 

 

 

 

写真/文/句:坂石佳音

 

 

メールはここにゃ

 

 

 

 

>゜))))彡