かのんのキョロキョロ日記

深吉野編

 

2004.11.3 香世晴れ

 

 

 

おべんとうとお茶、いただいちゃいました。

包装紙には「ひがしよしの東吉野ひがしよしの・・・」

 

 

 

 

あるステキなかたからメールが届きました。「全国句会ですよ」

ステキな方々と「お弁当つき」という言葉に弱い私はご一緒させていただくことに

しました。

 

       文化の日隣の席の堅表紙   佳音

   

 

近鉄榛原(はいばら:奈良県です)駅前にて午前9時に送迎バスに乗り込み、

着いたところは東吉野村です。

 

http://www15.ocn.ne.jp/~miyosino/ (東吉野村のHP)

 

今回の最終目的地は東吉野村の住民ホール、『「深吉野賞」全国俳句大会』なのですが、

その当日吟行のためにバスはホールを川向こうに見ながらもう少し高見川の上流部に

進みます。

バスが止まったところは『丹生川上神社』同じ名称の神社が吉野にはもう二箇所ありますが

こちらの祭神は罔象女神、姫神様です。丹生都姫・・・ということで、以前こんな句とお話を。

 

                                (引用:つぶやく堂 No2144)

 

だから、ここは私にとって、とても来たかった場所なのです。(来てから気がつきました、間抜け。) 

バスを降りたとたんに鼻腔に飛び込む森と水の匂い。

あ、鼻腔といえば、今回ご一緒させていただいたのはインターネットや結社でもご活躍の俳人さんで

お仕事は耳鼻咽喉科のステキなジョイセンセイです。もちろんジョイは女医ですが、それ以上に

ジョイのほうが似合う気がします、何事も♪(タイトル下の「香世晴れ」というのは、晴れ女の

彼女にちなみます。)センセイも含め、俳句結社『百鳥:大串章主宰』の皆さまとご一緒させて

いただきました。

 

・・・さて、もう一度やりなおし。

バスの扉が開くと流れ込み、頭の芯に染み入る森と水の匂い、祝詞を奉ずる気配、道をはさんで

むこうの高見川の瀬音、みずのくに。

大きな木は「叶(かなえ)の杉」と呼ばれる老大樹で、千年の齢とか。両手をあてて願いを唱えれば

それがかなうかもしれないとか。

「丹生の真名井」は井戸、ひしゃくを持つ手をんっとのばせば届く深さに水面がありました。

 

 

   水澄むやてふてふの黄のひらりひらり  佳音

 

 

高見川の上に向かって少々歩くと釣り橋があります。

その先には注連縄のかかる滝。

 

 

         冬匂ふ東の滝を過ぎしより   佳音

 

 

雨模様の天気の後のせいか、足元の悪い小道をすすみ、東の滝の前の小さな太鼓橋を渡った先に

句碑がありました。

 

 

 

神の淵(わた)、神武天皇が「天香山の土を取って天平瓮八十枚、厳瓮を作り天神地祇を祀れば賊は平らぐ」

という夢のお告げに対し、この地で誓をした場所、夢の淵です。

 

 

 

 

神社に戻り、再びバスに乗り会場の東吉野村住民ホールへ。

 

 

         三秋の果ての青空大吉野   佳音

 

 

 

投句を済ませ、「柿の葉寿司」を昼食にいただきました。

柿の葉寿司をご存知ですか?しめ鯖を薄く切ったものを酢飯に乗せてそれを柿の青葉で包み、

木型に並べ、押して作った押し寿司です。奈良のお土産として駅等で購入することもこともできる

ものはしっかりと酢が利き、押しがなされていて、魚も鯖だけではなく鮭のものもありますが、

私が好きなのは吉野の食堂のおかあさんやお姉さんが昨夜や今朝作った、酢の味のやさしい

柿の葉寿司。今回いただいたものはまさにそれでした。柿の葉が紅葉していました。きれい。

 

 

 

 

開始までまだ少々時間があるので、木材が並べられている横を抜け、川向こうまでお散歩。

 

 

 

 

この村はニホンオオカミが最後に確認された土地だそうで、その記念碑があります。

立派な尾を持つニホンオオカミの像でした。剥製になった本体は国内には無いとのこと。

てくてくと村の中を通れば「囮鮎あります」の看板があちこちに。伺うと、「今は養殖の放流だから」

という返事が返ってくるのは、かつては真の天然溯上の鮎がいたのだということ。

鮎は川によって味が異なります、それはきっとその川の苔や水や川そのものの匂いなのでしょう。

湖産の放流された鮎たちはこの川の鮎でありながら、この川の鮎ではないのかもしれません。

 

 

   魚の錆継ぐや川辺のねこじゃらし   佳音

 

 

 

 

「深吉野賞」は7月に締め切り、未発表三十句一編を、有馬朗人氏 伊藤通明氏 茨木和生氏 

宇多喜代子氏 大石悦子氏 大串章氏 大峯あきら氏 西村和子氏 藤本安騎生氏 三村純也氏

山田弘子氏 山本洋子氏の12名の選者が審査し、深吉野賞・佳作・選者特別賞を決定します。

当日はそれに加え、「東吉野村小・中学校深吉野賞」当日吟行句の入選・特選の発表、表彰が

あり、ご一緒させていただいた皆様の中からも当日入選そして特選とお名前があがりました。

 

     特選(山田弘子選)

菊日和受賞の子等の大き靴      小田 玲子

     入選

吊橋の端に日の差し紅葉狩      原田 暹

コピー機を社務所に据ゑて文化の日  久松 久子

先生の手の優しかり文化の日     北野 さやか

神籬は水音高し冬紅葉        松本 欣子

 

そのみなさまとまたバスに乗り榛原の駅に帰り着き、ちょっと乾杯、そしておしゃべり。

陽の沈んだのち、駅にてお別れしたのでした。

『「深吉野賞」全国俳句大会』は毎年文化の日にあるそうです。

いかがですか?来年。

私? はい、楽しかったです♪  ぜひ来年も・・・・逢いに行きます、水に。

 

 

 

 

           2004.11.4  Photo / 文 / 句: 坂石佳音




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