かのんのキョロキョロ日記
平成十六年二月一日『水道管?編』
カッチンカッチンカッチン、くいっっ。 へ?! きゃあああああぁぁぁ・・・。
春隣知ったつもりの道の果て
この先は幅員狭し犬ふぐり
う、詰まってしまった。この踏み切りは私の車は抜けられない。
「伊賀上野の蕉門ホールはちょっと分かりにくい場所にある」とは、うかがって
いたのですが・・・地図を見れば目印は○○と記されているのに、
その通り進んだら狭い踏切の前。
私はいつものでっかい車の運転席。
うーん、バックバック。
昨日(二月一日)は邦楽鑑賞のご案内をいいただき、
『第五回蕉門大学「日本のしらべ」』
なるイベントに出かけたのですが、いきなり迷子。
地図を捨てて、クンクンと鼻の指す方角に進み、なんとか開演に間に合いました。

蕉門ホールはJR関西本線の伊賀上野が最寄り駅ですが、
ここにホールが?!と思う場所に突然あります。
規模としては「小さくても実のある文化活動の場として建設された。」とのことで、
舞台と客席の近しいあたたかなホールです。
本公演の主旨は、日本においては西洋からやってきた音階を基本とした音楽教育を
長年続けたことにより、古来わが国にあった旋律がちょっとさびしい思いをしている。
ステキですよ、あじわってください、体験してください、思い出してください・・・・
ということのようです。
演目は、『茶の湯音頭』『磯馴松』『遠砧』。
ことに『茶の湯音頭』は琴・三弦・尺八の演奏される横で実際に茶をたてるという趣向。
舞台の茶筅の音が旋律のあわいにあり、やがてホール中によい香り。
正客の腕の先にある淑気 腕:かひな
『磯馴松(そなれまつ)』は海辺の潮風にさらされた松の姿を表現した尺八による本曲。
二人の尺八の音色が海辺を思わせます。
『遠砧』は『春の海』の作曲者宮城道雄氏が砧の和歌を歌人に依頼し、その歌に曲を
つけたものとのこと。
遠 砧 (作詞/磯部艶子 作曲/宮城道雄)
照る月に野末の藁屋ほの見えて風につれくる衣うつ声
吹き送る風のまにまに遠くなり近く聞こえてうつ砧かな
面白や誰がてすさびに唐衣さやけき夜半の月にうつらむ
歌人はこの三首のために幾度も聞いた砧の音を求めてまた信濃を旅したのだとか。
眼閉じて寒き信濃の月にあふ
演目終了後、和楽器に触れてみましょうというコーナーがあり、三味線や琴を弾く
ことができ、そして、塩化ビニールのパイプ製の尺八(?)を吹いて、
音が出せたらそれを頂戴できるとのこと。ふふふ、ぜひ参加しなくちゃ!!!
そして・・・・
はい、いただきました、水道管尺八。
東風吹かば歌ふならひの名の木かな
もうすぐほころぶ花に助けてもらったということにーいーうーあー、
単に物欲が強い?
ああ、そうかもしれないー。
さあ、帰りは迷わず帰りましょう。
お土産は何にしましょうね。
冬耕やまろく暮れゆく伊賀の空
苺大福ぽってりと夕日落つ
春近し一番星と帰りけり
一番星まで何をしていたのか?・・・そんなの秘密のナイショです。
かのんのキョロキョロ日記でした。
2004.2.2 Photo / 文 / 句: 坂石佳音
