父の日2005

ち・よ・こ・れ・い・と

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大阪に越してしばらくして、父が家族をカレーライスを食べにつれて行ってくれた。
私は小学四年生。場所は大阪梅田だったように思う。母の甘いライスカレーか
せいぜい喫茶店のメニューにチキンライスと並んでいるものしか知らない私には
カレーライスだけを出すカレー屋さんが珍しく、どれにする?といわれてもよく
わからなかった。こっそりのぞいたお隣の席の人のエビフライの入りの(これも
驚きだった。)カレーライスがおいしそうに見えたのでそれにした。くるんと揚がった
エビフライののった熱々のカレーライス。


「辛いだろう?」


一生懸命食べている私に父は嬉しそうに言い、私はとても辛いくせに


「ううん、だいじょうぶだよ」


と答えた。

たぶん私は真っ赤な顔をしていたのだと思う。

父は笑っていたから。

 

 

あの日の父より年上になり、一人で街を歩き、美味しそうなもの、楽しそうなものを
見ると、家人に話したくなる、子供たちを連れて行きたくなる。
あの頃の父もそうだったのだろうか。ああ、こんなものがある、これは旨いぞと
仕事の異動で工場勤務から営業職となり、街をこつこつと一人歩きながら。

 

 

カレー食ぶ笑顔の奥の汗の父  佳音

 

 

 

 

 

 

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「かあさん、こんしゅうのおやつのチョコレートは赤いのにしてね。」
娘はそう言い残してバレエのレッスン場へ。私は週一度の食料品の買い出しにスーパーへ。
一週間分の子供らのおやつもその時に購う。七日分、なんだかんだと揃えるのだが、

時折「レモンのグミが欲しい」とか、子供らよりリクエストがある。

今日は赤い箱のチョコレートね、了解。


帰宅して大荷物を解体していると、娘が今週のおやつの袋を物色してる。


「チョコレート、今食べるの?」
「ううん、えへへ、父の日するの」


そう言って、カードも書き始めた。

ああ、そうか。

赤い箱のチョコレートはいつも彼女のおとっときなのでした。

 

 

光孕むや父の日のチョコレート  佳音

 

 

私の父はお酒も好き、甘いものも好き、ことにチョコレートが大好き。
だから私は父への何かはチョコレートを渡すことが多く、

今日も父にはちょっと珍しいチョコレート。

さて、それを父は、忙しそうに


「はいはいはい、ありがと」

と受け取ってすぐどこかに置きっぱなし。

 

 

夫は娘からまだそれを渡されていない。

 

 

 


2005
 .JUN....Kanon



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