月出づるさきの



水無月Photo 3



    今です、とゆらぐかはたれの薄闇。







    今なのですね、と今日最後の光をあなたに。







    ただ黙って

    ふたり、夕暮れをわたりゆく。

    月の出は夜半。






    こらえきれずあなたは歌う、馥郁と。

    駆け出すことのできない月は

    両の尖りをアンテナにしてあなたをきいている

    斜め下の空で。







    明日は月は出ないかもしれない。

    時計は遅れていく一方だといいわけをして。





        女王花真珠の粒の砂時計   佳音









    2004.JUN....Kanon