2007年2月 αーNET【JA全農みえ】 Vol. 159 に掲載されました
【味だけではないおいしさ みえ、地物一番ブランド】
名張藤堂家の旧城下町をよぎる初瀬街道。古くは伊勢神宮に仕える斎王が、近くは伊勢参りの旅人が通り、にぎわいました。
往復をしのばせる風情あるこの街道沿いに、台杉の木立に囲まれ、なきがごとくひっそり、番じゃ屋敷はあります。
もともと割烹であったものを、20年以上前に業態転換。名張市で最初の居酒屋を開業しました。目を閉じれば、忙しく立ち働く父母の姿が浮かんできます。
そんな両親から経営を受け継いだのは9年前でした。ノーハウはなにも持ち合わせていませんでしたが、心がけたのは他店との差別化。地元の酒、地元の食材、地元の器と、徹底して地元にこだわりました。そして低料金。また、広告、宣伝は一切せず、街道を訪ね歩いても、つい通り過ぎてしまうほど、一目につきにくくしました。これが奏功して、人づてにしだいにうわさが広がり、ファンは確実に増えていきました。
店の雰囲気も、和風を基礎としながら、しだいに東南アジアの雰囲気も取り入れてきています。きっかけはサーフィンで訪れたバリ島のレストランでした。店のうち、そとを彩るトロピカルな花々、気の利いたインテリア小物、行き届いたサービス。すっかり魅了され、わたしたちの店にも生かそうと、小物や食材などの買いつけに、サービスや調理の習得にと、毎年出かけています。
夜ともなれば、三々五々、常客が隠れ家を訪ねてきてくれます。ゆったり配置された木のテーブルを、ちょうちんの火影とバリ猫のろうそくの炎が優しく照らし、同席者の語らいをおのずとたおやかにしてしまいます。そして、旨酒と佳肴........。一縷の青きかなしみに胸を満たしていらっしゃるのかもしれません。
【笑顔は魔法】 みなさまのお越しを笑顔でお待ちしています。