無症候性の髄膜腫が見つかったら!!
髄膜腫の発見から手術、術後の経過などを、このホームページでお知らせしています。早いものでそれも6年目に突入しました。5年を一つの区切りと考え、ここに今までの内容をまとめました。
1、術後6年目の今 1月・5月・10月の年に3回、通院してきました。10月にMRIの予約を取って、1月に検査という形でした。 知人のお兄さんで脳外科医の人がいます。その人から「髄膜腫は取ったら終わり」と聞いていましたが、私は終わりませんでした。しかし、6年目ともなると、脳腫瘍は風化しつつあり、通院が次第に億劫になっています。 ある脳外科の先生から戴いたメールに「検査は2年に1度でいいでしょう」とあり、今度、受診や検査の回数について相談しようと思っています。 2、無症候性の髄膜腫は治療を急がなくてもいい 思ってもみない脳腫瘍が見つかったら、誰もが、おろおろします。 私は耳鼻科の精査中に偶然見つかりました。 頭の手術は、考えただけでも恐ろしく避けたいものです。 手術前、諦めの悪い私は、自己流に薬を飲んだり、きのこを食べたりして、悪あがきをしていました。馬鹿なことをしていましたが、無症候性の髄膜腫は、そんなことができる時間的な余裕があります。 3、手術の覚悟もしておく 腫瘍が大きくならないように抵抗することは、不安から逃れるという点では有効でした。しかし、若い人の場合、治療を決断しなければならない時が必ずやって来ます。
覚悟しなければならない時には、絶対に逃げないこと!! 腫瘍が大きくなると治療が難しくなるので、時期を逸しないことが肝心です。 4、理想は信頼できる医師に
手術を受けると、完全に元の状態には、戻りません。
術後、感謝して暮らすのと、ちょっとした不具合にも敏感になりながら暮らすのとでは日々の充足感が違ってきます。 「この先生に手術をしていただいたのなら、たとえ、うまくいかなくても後悔しない」と思えるくらい信頼できる先生に手術していただくのが理想です。 しかし、患者にとって、10分程度の診察で、命を預けられるかどうか、判断するのは至難の業です。最後は「勘」に頼らざるを得ないと思います。私の場合は、「仕事に対する」誠実さという点が決め手になりました。 医師に手術件数や術後の後遺症の出現率、再発率などを聞くことは、非常に大切なことです。しかし、患者のこのような質問に医師が快く答えてくれるか、となると疑問です。セカンド・オピニオンも嫌う医師がいる現状では、難しい面があるかと思います。 また、外来での主治医が執刀医になるとは限りません。入院後に執刀医が決まることも多いので、現実的には、その病院の脳外科の評判が重要です。病院の年間の手術件数を参考にすると、よいかもしれません。 5、治療法は一般的には手術 髄膜腫の治療法は、「手術のみ」・「手術+放射線治療」・「放射線治療のみ」といった3種類があります。それぞれ一長一短がありますから、医師とよく話し合って、治療法を選んでください。 また年齢や体の状態、仕事や家庭事情など、患者一人ひとりの状態によって治療法は異なってくると思います。 放射線治療ができる病院かどうかで、説明の仕方が違うかもしれません。選択肢を増やすために、放射線治療を行っている病院の説明も聞いてください。 私は 腫瘍が視神経の近くにあるので、放射線をあてるのは危険 放射線治療は始まったばかりで10年後、20年後にどんな後遺症が出るか分からない ということで、手術を勧められました。 今のところ、後遺症も再発もなく、うまくいっています。 最近は、QOLを重視した治療法が増えています。無理に全摘を目指さないで取りにくい部分は残しておき、術後、放射線で焼き固めるという方法です。 関西より関東の方が放射線治療を積極的に取り入れているように思います。 手術は成功し、合併症もなく、退院しました。術後5週間目から完全職場復帰を果たしました。 術後の体の変化として 2年程、寒い日や梅雨時に傷痕が引きつるような痛みがあったこと 右目の上の頭蓋骨が変形したため、美容的な理由から前髪を上げられなくなったこと が挙げられます。 7、鞍結節部髄膜腫は再発するかもしれない 脳の深部にできた鞍結節部髄膜腫は、近くに視神経や重要な動脈があり、全摘は難しいそうです。「目で見える範囲は取りました」と言われましたが、再発の可能性が否定できないので、今もMRI検査を受けています。再発するとしたら視神経の辺りからだそうです。 別の脳外科の先生から「腫瘍と共存する気持ちで暮らしてください」とメールを戴きました。くも膜の一部が変化した髄膜腫も、私の体の一部です。腫瘍があっても、成長速度がゆっくりで、このまま共存できたら…万々歳です!! 8、勇気を出して 偶然、髄膜腫が見つかったら、目の前が真っ暗になります。 しかし、見方を変えると、早期発見されて運がよかったとも言えます。 悲観しなくてもいいし、慌てることもありません。現に私のような患者もいます。 無症候性髄膜腫が見つかった方、どうか勇気を出して腫瘍と闘ってください。 |